探索日:2022年11月27日
城峯山登山道脇の洞窟探索後は、上吉田地区にあるとされるマンガンを採掘していた城峯鉱山の探索に向かいます。
城峯鉱山とは
今回の城峯鉱山探索なのですが、実は先に探索した登山道脇にあるマンガン鉱山跡が既にいくつもWeb上で公開されているように城峯鉱山だと思っていました。
その時の探索記事が以下になります。
私も登山道脇に鉱山跡が城峯鉱山だと思い探索記事を書いていたのですが、手持ちの資料である『埼玉県下に於けるマンガン鉱予備調査報告書』を見ると以下のように記載が有ります。
これを見ると上吉田の半納地区に有るのが三石鉱山で、城峯鉱山は上吉田の熊ノ沢地区にあるとされています。
どうやら先に見つけた半納の登山道脇にあるのが、三石鉱山の可能性が高そうです。
それを証明するためには本当の城峯鉱山を探し出す必要が有ります。
では実際の城峯鉱山はどこにあるのかと、考えるとヒントになるのは「熊ノ沢」なる字名。
これを探し出せば城峯鉱山を見つける事が出来そうです。
ネットや行政の資料を見てみますが、なかなか熊ノ沢なる地名が見つかりません。
ところがとある上吉田の地図に「熊の沢」なる沢名がある事を発見します。
探し出せたヒントはこれだけなのですが、この熊の沢に行ってマンガン鉱山が有れば、城峯鉱山ということになります。
たったこれだけの情報ですが、行けば何かしら見つかるだろうと探索に向かいます。
城峯鉱山探索
さて城峯探索ですが先の登山道脇の洞窟を探索後、再び城峯山の登山道を下っていきます。
登山道の分岐。
半納登山口方面に向かうと先に探索していた三石鉱山(半納鉱山)方面へ行けますが、今回は男衾登山口方面へと下ってみます。
男衾登山道を下るとこんな民家と納屋の隙間に出てきます。
一見民家の敷地の様ですが、ここが正規の登山道です。
今回は下りだったのでここから出てきましたが、登山時にこの事を知らないとここが登山道だとは気が付きませんね。
男衾登山口を出てからは地図や地形図を確認し、城峯鉱山が有るとされる「熊ノ沢」となる沢に入ります。
この沢は人がほとんど入っていないようで、登山道はおろかふみ跡も見当たりません。
仕方が無いので沢筋を登っていきます。
暫くの沢を登っても全く人の気配が無いので心が折れかけていた時に、唐突に石組跡が現れます。
炭焼き窯跡の積み方では無いので、鉱山に関係が有るものかもしれないと心を持ち直します。
この辺りから沢筋にもマンガン鉱石と思われる石を目にします。
所処に落ちているので、この先にマンガン鉱山が有った可能性が高まります。
この先にマンガン鉱山が有るだろうという希望を元にひたすら沢を登ります。
しばらく登るとまた石垣が出てきます。
今度の石垣は沢に沿って結構な長さが有ります。
ふつうはこんな人も入らない山の中に石垣を作る事は無いと思うので、やはりこの沢には何かが有るようです。
その何かがマンガン鉱山で有ってほしいのですが・・・。
石垣から少し行くと、マンガン鉱山特有の黒いズリ石!
この付近に採掘跡は見当たらなかったのですが、これが有るということはどこかで採掘していたことが確定になります。
ズリ石エリアから先に進むと、斜面上の岩の元付近に4つの大きな穴。
そしてその斜面には黒いズリ石。
どうやらここが探していた城峯鉱山の様です。
坑口の少し先には崩壊と思われる小屋の跡も。
屋根に使われていたと思われるトタンしか残っていませんが、鉱山施設跡でしょうか?
営林署の看板が有ったから林業関係かもです。
鉱山跡に到達後は先に周囲を探索しましたが、壊れた小屋以外は特に見当たらないので、鉱山と思われる坑口付近へ向かいます。
この城峯鉱山はマンガン鉱脈が水平に走っていたようで、岩の露頭に水平に4つの坑口が開いています。
坑口付近から下の沢を見下ろした様子はこんな感じ。
坑口真下には以外にもズリ石が余りなく、採掘時に出た不要な石は別の場所に捨てていたようです。
まずは一番右側の坑口から見てみます。
中を覗いてみると正面に残柱が。
この城峯鉱山は余り奥には深くは掘っておらず、横へと掘っているようです。
お隣の坑口の様子。
ここも横に広がっており、両サイドの坑口と繋がっています。
さらにその隣の坑口。
こちらが一番左の坑口。
正面に残柱が2本も見えて良い感じですね。
この坑口から入って一番右側の坑口まで行ってみたいと思います。
坑道内のズリ石の様子はこんな感じ。
坑道内メインエリアと思われる部分の残柱。
深く掘られている坑道より、広くて残柱が沢山あるマンガン鉱山は見た目的にも良いですね。
奥には水が溜まってる場所も有ります。
正面は掘ってみたけど、マンガン鉱石が出なかったのでしょうか。
太い残柱。
鉱山時代のものと思われる坑木らしき木も残っています。
この坑口時期的なためもあるのか、蝙蝠やカマドウマなど一切おらず、中も乾燥しているので探索もしやすいです。
不要な石を積んだと思われる石積み。
2つめと3つ目の坑口の様子。
中ではこんな様子で繋がっています。
こういう坑道内だと、出口も複数あるし光や空気も出入りするので、安心して中を探索出来ますね。
こちらは一番右側の坑口の様子。
上から崩れてきたと思われる土砂で、坑口が半分以上埋まっています。
そして右奥のエリアは岩盤から水が染み出ています。
近寄ってみると染み出る水により、鍾乳石が形成されています。
しかも石灰分とともにマンガン成分も流れ出ているようで、白い鍾乳石と黒い鍾乳石が見られます。
見た目によってはちょっと不気味ですね。
足元をよく見ると小さいながらもリムストーンが出来ています。
更にはその中にはケイブパールらしきものまで。
こちらも石灰とマンガン成分が混じっているようで、黒い物や茶色い物しか有りません。
この鍾乳石はまだ水が流れ出ているので、今後も発達していきそうですね。
坑道内を一通り探索したので、外へ出ます。
坑道内の探索の様子はYoutubeにもアップしてあるので、興味のある方はどうぞ。
改めて城峯鉱山の坑口の様子。
斜面の岩に4つの坑口が開いており、まるで山城の様ですね。
城峯鉱山を探索したので、坑口付近から下ります。
行きは沢沿いを登ってきたので気が付かなかったのですが、尾根沿いに鉱山道と思われる踏み跡がしっかりと残っていました。
帰りはこの鉱山道を利用して下ってみます。
鉱山道沿いにも不要な石を捨てたと思われるズリ場らしきものが見られます。
沢沿いに何か所かあったズリ石はここから落ちてきたようです。
鉱山道から見下ろした沢。
結構高低差が有り、沢を歩いていたら上部の道には気が付きません。
そして鉱山道沿いにも謎の石積みがあります。
昔は小屋でも立てていたのでしょうか。
下りの方は鉱山道を使いスムーズに下山。
鉱山道は最後は意外な場所に続いていたりもしてビックリしました。
さて、今回の城峯鉱山のお土産。
マンガン鉱山内部に有った、ケイブパールならぬマンガンマインパール。
マンガンの成分が多く含まれているようで真っ黒です。
すべすべしたタイプと粒粒が沢山ついたタイプが有ったので両方お持ち帰り。
本当のケイブパールなら持ち帰りはダメですが、今回は廃鉱山の二次生成物ということで貰ってきました。
この後は石間川の鍾乳洞から流れ出る河川を見に行きます。
コメント
いつも貴重な情報を公開して頂きありがとうございます。
先日こちらに訪問しましたが、本坑より下部沢の右岸に試掘坑が4つ(2箇所)、一番大きいものでも5m程度掘り進んだだけの小さいものがありましたので報告いたします。
ろばあと様
返信遅れてしまいすみません。
こちらに行かれたのですね。
試掘抗には気が付きませんでした。
今度、吉田石間方面に行くことが有ったら、確認してみたいと思います。
情報ありがとうございました!