探索日:2022年10月22日
林道明ヶ沢沢戸線を無事に走破し、明ヶ沢から石間方面へと抜ける事が出来たので、お次は城峯山の登山道脇にあるマンガン鉱山跡を目指します。
こちらの鉱山も色々とやり取りさせてもらってる『ろばあと様』『きなこ様』から頂いたものと、事前調査の情報を元に探索します。
このマンガン鉱山跡は付近にある城峯山から「城峯鉱山」と呼ばれていたり、半納地区に位置していることから「半納鉱山」などと呼ばれているようです。
しかし『埼玉県下に於けるマンガン鉱予備調査報告書』の情報を元にすると、実際の名称は『三石鉱山』の可能性が高そうです。
上の画像は『埼玉県下に於けるマンガン鉱予備調査報告書』の鉱山の情報なのですが、上吉田の字半納にあるのは『三石鉱山』となっています。そして『城峯鉱山』は上吉田の字熊ノ沢にあるとされています。
実際のにこの情報が正しいのかを確かめるべく、字「熊ノ沢」と思われるエリアを探し出し後日探索に向かったところ、実際にマンガン鉱山跡を見つけました。
※熊ノ沢に有った城峯鉱山と思われるマンガン採掘跡。
そのため、この情報は正しいものと考えられ、今回の半納地区の城峯山登山道脇にあるマンガン鉱山跡は『三石鉱山』とします。
城峯鉱山探索の様子はまた後日記事にしたいと思います。
また「三石」なる名称ですが、このマンガン鉱山跡のある付近には「一ツ石」なる字が有ります。
この「一ツ石」なる字名が、「二ツ石」「三ツ石」と下って名付けられていたら、ちょうど鉱山の位置付近が「三ツ石」に位置すると思われ、「三石鉱山」の名称になった可能性が有ります。
(地図は公益社団法人 埼玉県農林公社 森林局より)
三石鉱山跡探索
さて、三石鉱山探索なのですが、まずは石間川沿いに半納地区を目指します。
途中には良い感じの神社が有ったり。
石間川は渓流釣りに良さそうなポイントが続きます。
途中で何度か川を見ると、30センチ近くありそうなヤマメが泳いでいる姿も見えました。
城峯山へはこちらの大きな金属製の鳥居をくぐっていきます。
ここが城峯山への登山口入り口。
一見民家に続くような道ですが、左側の坂道を登っていきます。
民家脇を抜けてこんな感じの登山道を歩きます。
歩き始めて10分ぐらいで、登山道のすぐ脇に坑口出てきます。
早速坑道内へ行ってみます。
少し奥に進むと、岩盤に小さな穴が開いています。
覗き込んでみると先に広いホールが有るようです。
ちなみにこの坑道内は蝙蝠が住んでおり、この穴を行ったり来たりするので、覗き込むタイミングが難しいです。
蝙蝠が飛んでくる合間を狙ってみてみると、先は広いホール状の空間が広がっています。
ホールの左側は水没しており、地底湖状態になっています。
地底湖には鉱山当時に使われていたとみられる木製の梯子や、パイプ、その他機材の残骸などが沈んでいます。
ホールへ行くには地底湖を越えなくてはいけないので、いったん坑口付近に戻ります。
最初の坑口の裏手に回ると、こちらもいくつかの坑口が開いています。
まずは左側の坑口から確認してみます。
こちらは坑口正面に何か物を置いていたとみられる空間が残っています。
この形状、天覧山の坑道内に有った空間にそっくりです。
坑道は左に折れて先に繋がっています。
坑道内には空気取りなのか、鉱石を掘りすぎたのか、外部へ繋がる穴が開いています。
更に進むとホール状になっております。
マンガン鉱山によく見られる複雑な掘り方。
坑道内のズリ石の様子。
そして一番奥には先ほど覗いた地底湖と繋がっていました。
右の穴が先ほど覗き込んでいた穴。
水没していますが正面も坑道状に繋がっているようです。
坑道のホール内部は比較的大きい石もゴロゴロしています。
ただ天井から崩落したというわけでは無さそうなので、掘った際のカスを残していたようです。
この坑道内は見終わったので再び外に出ます。
この坑道内の様子は動画に撮影したので、興味のある方はどうぞ。
外に出て別の採掘坑を見てみます。
この辺りは露頭を掘っただけで、坑道掘りはしていないようです。
こちらも少し掘っただけの様子。
そして一番左側の坑口。
こちらは奥が深いのか、坑口から水が流れ出てきています。
先へ進んでみます。
水は流れ出してはいますが、それほど深くは無く、トレッキングシューズでも進める程度。
天上が崩落しないように支えるための残柱が良いですね。
この辺りも少し掘り込まれています。
途中には1メートルぐらいの段差もあるので乗り越えていきます。
水が流れていますが、滑るようなことはなく登りやすいです。
そして奥には何かが見えますね。
近寄ってみると、見えたのは滝。
なんと坑道の中に沢の水が降り注いでいます。
マンガン鉱脈を追って掘りすぎてしまったのか、それとも沢が増水した時に崩落したのか分かりませんが、これはこれでいい感じの撮影スポットです。
ちなみに滝の奥にも坑道が掘られていますが、奥行きは数メートル程度でした。
この坑道も一通り回ったので再度外へ出ます。
こちらの滝の注ぐ坑道内も動画で撮影したので、興味がありましたらどうぞ。
坑道を出て周囲を見てみると、この辺りも何か所かで露頭を掘った跡が見られます。
ここは少し深そうでしたが、照らしたらちょっとしか掘っておらず。
小さい採掘跡はいくつも残っています。
ついでなので、沢沿いを登って先ほどの滝が流れ込む坑道の上部へ。
丁度沢底のど真ん中に坑口が開いており、沢水がそのまま流れ込んでいます。
坑口全体の様子はこんな感じです。
この見える岩場にマンガン鉱脈が広がっていたようです。
鉱山周囲には鹿と思われる骨も多数転がっていたり。
鉱山時代の物か林業で使ったのか分かりませんが、多数のワイヤーも有ったり。
登山道脇の石垣にはマンガンのズリ石も使われていました。
そんなこんなで探索終了し帰途へ。
吉田石間エリアから石間側に沿って県道363号を歩いていると、私の横を軽トラが走り抜けていきます。
するとなぜか50メートル程先で急に止まり、猛スピードでバックしてきます。
どうしたのかと見ていたら私の脇に来て「熊が出たから乗って!」と。
何が何だか分からずにいると、いきなりすぐ先の藪から熊が飛び出してきます。
さらに軽トラの人が「多分子熊が居るから乗って」と言われ、軽トラ内に避難させてもらいます。
軽トラに乗せてもらった直後に、親ぐまの跡を追って2匹の子熊が。
この探索の前週に小鹿野町の二子山で熊と遭遇した動画を見たばかりで熊鈴を2つつけるなど警戒していましたが、車も普通に走る地域の幹線道路脇に出るようじゃ、鈴ごときでは役に立ちませんね。
そして軽トラの中から撮影した熊の様子。
親ぐまの跡を追って2匹の熊が続いている様子が見えます。
運よく軽トラの方が来てくれたからよかったですが、来なかったら熊と鉢合わせして危なかったと思います。
軽トラの方には1キロぐらい先まで乗せてもらい、何度もお礼を言って別れました。
そして帰宅のために最寄りのバス停に来ましたが、次のバスまで1時間半近く時間が有る事が判明。
ボケーっと待つのも何なので、10キロぐらい歩いて皆野駅にてこの日の探索を無事に終了しました。
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