小川町の官ノ倉山付近にあるマンガン鉱山跡探索

埼玉県

探索日:2022年1月10日

小川町の飯田炭鉱(小川炭鉱)の跡地を探索後は、官ノ倉山付近にあるとされるマンガン鉱山跡を探しに行きました。

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官ノ倉山付近にあるとされるマンガン鉱山跡とは

官ノ倉山付近にあるとされるマンガン鉱山跡の記録は、小川町の発行している書籍「小川町の自然地質編」に記載されています。

イラ沢の試掘抗

木部地区の天王池からイラ沢沿いに官ノ倉山への登山道脇に試掘抗跡が確認できた。
杉田亮一氏の持山で、昭和17年~18年に稼行した鉱山があったとのことである。
坑道の総延長は30~40mはあり、5~6人の人夫で作業としていたとの事である。
今回の調査では確認されず、変わりに沢の左側に奥行き6.5mの試掘抗がみつかった。
試掘抗から堰堤までの沢の中には黒く酸化したマンガン鉱の転石が点在している。

どうやらイラ沢なる沢にはマンガン鉱山1ヶ所と試掘工が1か所ある様子です。
(ちなみに同書籍には、これまた官ノ倉山近くのウス入りの試掘抗なる場所の記載も有りましたが、ウス入りがどこの沢か分からずだったので次の機会に回します)

事前調査ではこれだけしか情報が有りませんでしたが、町が公式に発行した書籍なら確実であろうとの事で探索に向かいます。

 

官ノ倉山付近にあるとされるマンガン鉱山跡探索

まずは官ノ倉山方面へと向かいます。
書籍に有ったイラ沢がどこの沢かはわからなかったのですが、天王池の場所は分かったので天王池を目指すことに。

到着した天王池はこんな感じ。
冬なので全面凍結しています。

ちょうど池の脇に散歩をしていた地域の人が居たので声をかけてみますが、この近くにマンガン鉱山が有ったことは存じてないとの事。

 

天王池まできたので、その先の沢沿いの登山道を官ノ倉山に向けて歩きます。

周囲の沢沿いを眺めながら歩きますが、残念ながらそれらしいものは見つからず。
探索しながら歩いているとすぐに登山道は沢沿いを外れ、しばらくして尾根に到着。

 

そしてそのまま1回目の官ノ倉山頂上へ到着。

天気がいいので官ノ倉山頂上からの景色は最高です。

ですが、今回は登山目的ではないので、再びやってきた登山道を下ります。
下りながらも周囲を眺めますが、坑口らしいものは見つからず。

登山道沿いは割と最近に杉の木が伐採されたようで、倒木が多数。
もしかしたら倒木に埋もれてしまったのではと思いつつも、登山道を2往復。
さらには沢を登れるところまで登りますが全くマンガン鉱山らしいものはやはり見つかりません。

 

もしかしたら探している沢自体が違うのでは・・・と不安になりかけたところ、鉱山跡のヒントとなるものが登山道の1か所にだけ有る事に気が付きます。
本来ならもう少し登山道の広範囲にあっても良いと思うのですが・・・。

もしかしたらと思い、そのヒントが有った場所の斜面を登ってみます。

 

斜面を登るとすぐに足元がマンガン鉱山のものとみられるズリに代わります。
これは間違いなくこの斜面の上に坑口が有るはず!

 

斜面を登ると1か所それっぽい露頭が有りましたが、マンガンのズリ石はさらにその上にも続いていたので、さらに斜面を上がっていきます。

 

すると坑口を発見!

 

入り口付近は若干土砂に埋まりかけていますが、普通に入れる程度には空いています。

準備を整え入坑!

と思いきや坑口から入った直後に土砂が盛られています。

 

その先も覗き込んでみましたが、続いていない様子。
ただ上部から石が落ちてきているようにも見えるので、上に続いているかもですね。

坑道の中のズリ石の様子。

坑道の中から坑口を振り返るとこんな感じです。

とりあえず坑道から出て周囲を見渡すと、その上にも坑口が開いている様子が。

 

少し登ると新たな坑口発見!
こちらの方がしっかりしており本坑っぽいです。

というわけで早速入坑。

入るとすぐに右側に大きく掘られています。

右側は坑口付近に向かって掘られており、地表ギリギリに到達しているようで、所々木の根っこも見られます。

 

坑口から入って右前方には坑道を支える柱が残されています。
ちなみに鉱山で時折見かけるこの柱、名前は「残柱」と言うそうです。
見たままの名称ですね。

 

坑道の側面はこんな様子。
マンガン鉱石と、何かキラキラした鉱物が見られます。

 

ちょっと掘ったけど何も無くて、ズリ置き場になった感じの穴も。

 

坑道自体は左に曲がりながら掘られています。

 

左の側面にはズリ石を綺麗に積んで石組にした場所も。
ちなみに確認し忘れたのですが今思うとこの石組の奥に若干の隙間が有ったような・・・。
もしかしたら竪坑か斜坑が有って、先ほどの下部の坑道に繋がっている可能性も有るかも。

 

その先は右に曲がって行き止まり。
どうやらこの先は良いマンガン鉱石が取れなかったようです。

坑道内のマンガンズリはこんな感じ。

 

奥から戻ってくると坑口付近が穴と残柱で良い感じに。

ちなみにこの鉱山の坑道内の様子はこんな感じです。


坑口からの斜面に流れてるズリの様子。

ちなみにこの下部にある官ノ倉山への登山道は結構人が通るので、降りるときにズリ石を落とさないよう慎重に下っていきます。

 

マンガン鉱山から下った後は沢沿いに有るらしい試掘跡を再度探します。

沢沿いを1往復してみますが坑口は見つからず。
それっぽい酸化したマンガン鉱石は有るのですが・・・。

 

とりあえず今回の探索では「小川町の自然地質編」に記載されていたマンガン鉱山と思われる場所を発見する事が出来ました。
残念ながら他の試掘抗を見つける事はできませんでしたが、時間の都合もあり官ノ倉山に再度登ってから次の探索地へと向かいます。

 

ちなみに後日、このブログを見てくれている方から情報提供があり、イラ沢とウス入りの2つの試掘抗の場所を教えていただけたので、後日時間を作って探索したいと思います。

 

次は根古谷石灰鉱山跡の探索に向かいます。

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コメント

  1. 内田康男 より:

    大変興味深く拝見いたしました。貴殿のお蔭で山林登り口の写真をたよりに坑口を探し当てることができました。
    また、今後イラ沢反対側の沢及びウス入の方も調査予定があるとのことですが、可能でしたら同行させていただけませんでしょうか。
    なお、別の不動入の山林に「カナッポリ」といわれている穴があるとのことですが、本日探しみようと思います。分かりましたら、お会いできるときに案内いたしたいと思います。何卒よろしくお願いいたします。

  2. スロイス スロイス より:

    内田康男様
    コメントありがとうございます。
    返信遅れてしまい申し訳ありません。

    官ノ倉山のマンガン採掘坑を見つける事が出来た様で良かったです。

    イラ沢とウス入りの方もいつかは行こうと思っていますが、情報をいただいた方からは小規模な試掘跡との事でなかなか気が進まない状況となっています・・・。

    近場の山に「カナッポリ」なる穴が有るのですか。
    名前からすると金などの鉱物を掘った跡の様な感じですね。
    既に探索に行かれてると思いますが、発見できていると良いですね。

    今後ともよろしくお願いいたします。

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