栃木県佐野市飛駒町の十二八州鉱山探索

佐野市

探索日:2025年10月7日

この日は某先生と地元の猟師さんと、栃木県佐野市飛駒町の根本山の中腹にある、十二八州鉱山の探索に向かいました。

まずは十二八州鉱山に向かう途中の林道でいくつかの試掘跡と、粘土脈を観察しました。

根本山付近の石鴨林道のマンガン試掘跡探索
探索日:2025年10月7日 この日は某先生と地元の猟師さんと、根本山の中腹にあるという十二八州鉱山の探索に向かいました。 十二八州鉱山に向かう前に、地元の猟師さんより「途中にマンガンの試掘跡が有るよ」との事で、まずはそこに立ち寄り...

 

その後は本命の十二八州鉱山へ。
その前に十二八州鉱山の情報をまとめてみます。

 

十二八州鉱山(十二鉱山)とは

十二八州鉱山とは栃木県佐野市飛駒町の根本山の中腹にあるマンガンを採掘していた鉱山です。
十二八州鉱山の記録の有る資料には以下の様に記載されています。

群馬県地下資源調査報告書 第1 号
十二鉱山 山田郡梅田村所在、従業員7名 個人経営

こちらの資料では十二八州鉱山は山田郡梅田村所在となっていますが、これは当時の鉱山関係者は桐生市の梅田側の方が多かったとの事で、住所も鉱山事務所の位置かと思われます。

 

日本のマンガン鉱床補遺
十二八州鉱山(zyuni-yashima) 安蘇郡飛駒村入飛駒
根本山(1197m)と熊鷹山(1168m)の中間にある。標高1000~1100m。
安倉清二氏が酸化マンガンを稼行し、昭和31年より八州鉱業株式会社の諏訪勘次郎氏が稼行した。昭和35年より日満鉱業株式会社に移った。
1号・2号・3号・青石・槇原・萱出の諸鉱床が知られている。
Barite(バライト・重晶石)を含む、チョコレート炭マンを産す。

こちらのローマ字記載から十二八州鉱山は「じゅうにやしま」と読むことが分かります。

 

群馬群勢多地域の放射能調査

十二八州鉱山長手坑
栃木県安蘇郡飛駒町石鴨集落の北東直距約3km。
標高約1,000m、群馬県県境に近い奥地である。この付近には多数のマンガン鉱床があり、一時は相当量の出鉱石を見た。
当時は諏訪勘次郎氏の鉱区で、数人で月数10tを出鉱していた。昭和35年5月から日満鉱業株式会社の鉱区となった。
交代の上盤は塊状チャート、下盤は千枚チャートからなる。下盤位の千枚チャート(厚さ数m)のさらに下位3mに来る粘板岩の一部に、22μr/hの部分が有り、U3O3 0.001%で有った。これは黒鉛盤式のものである。鉱石はチョコレート及び青色炭マン鉱が多い。

 

栃木県加蘇・飛駒および菱村地域のマンガン鉱床
十二八州鉱山
栃木県安蘇郡飛駒村大字入飛駒
鉱業権者:八州鉱業株式会社 諏訪勘次郎
鉱区番号:栃採 266号栃木県安蘇郡飛駒村大字入飛駒にあり、桐生市の北東20kmに当たる。栃木・群馬の県境の根本山(1,197m)・熊鷹山(1,168m)の山頂付近に有って、標高1,000~1,100m付近に位置する。
鉱山に至るには山麓の上藤生集落より、約3km、N80゜E方向の沢を進めば現場に至る。この間の所要時間は1.2時間である。現在、標高700m付近までトラック道路が通じており、鉱石は現場よりソリでこの地点まで運び、トラックで桐生市へ運搬される。
沿革として詳細は不明であるが、かつて安倉清人氏二より、主として二酸化マンガン鉱を採掘したと言われる。その後、昭和31年11月より八州鉱業株式会社の手に移り、第1号坑、大2号坑が稼行されている。
鉱山付近を構成する岩石はチャート・粘板岩・珪質粘板岩等からなるが、チャートがかなり厚く分布するようである。花崗岩類の影響はほとんど受けていない未変成地域である。
本鉱山には大小種々の鉱床があり、1号、1号新、2号、2号新、3号、青石、青石入口、巻原、萱出等の鉱床群が散在する。現在稼行中の鉱床は1号新と2号鉱床である。(中略)鉱石鉱物には1号鉱床から産出鉱石に、二酸化マンガン鉱を主として、炭マンは少量である。2号鉱床から産出する鉱石は、チョコレート鉱を主とする鉱石、アヅキ炭マン、縞状炭マン、および灰色炭マンから成る鉱石、バラ輝石及びテフロ石からなる鉱石の3種類に分けられる。

(中略)

1号新鉱床の鉱石は主として二酸化マンガン鉱で、約300tを出鉱している。また炭マンを100t出鉱したが、鉱体の幅が狭く、品位も低下したためほとんど休山状態である。鉱石はほとんど炭マンであるので、珪酸マンガン鉱は全く期待されない。
2号鉱床は露頭より約20m下部を採掘中で、現在従業員12名で、月産120~130t出鉱している。

 

鉱山保安年報 昭和33年度には十二八州鉱山の労災として以下の記録が残されています。

栃木 八州鉱業 十二八州鉱山
坑口前においてソリに鉱石を積んで、坑口前の傾斜30度の所に来た時、積み荷の俵が落下して罹災す。
埋没、死者1名。

 

 

栃木県加蘇・飛駒および菱村地域のマンガン鉱床 珪酸マンガン 第5報にはこの地域のマンガン鉱山の図が有りますが、十二八州鉱山は図から見ても複数の採掘箇所を持っていたことが分かります。

 

 

なお、今回同行していただいた地元の猟師さんのお母さまが、十二八州鉱山の選鉱場で働いていたそうで、猟師さんが子供の頃はまだ鉱山関係の小屋などが残っていたとの事です。
また日満(日満鉱業)という会社名も良く話に出て来たと言っていました。

 

十二八州鉱山の作業小屋跡

十二八州鉱山へ向かう途中、沢に有る堰堤を越え沢が二股になるところで猟師さんの車が止まります。
降りて話を聞くと、昔はこの付近に十二八州鉱山の作業小屋がずらっと並んでいたとの事。

猟師さんの年齢から察すると、60年ぐらい前かと思われます。。

 

 

十二八州鉱山探索

さて、十二八州鉱山探索です。
作業小屋跡の場所から車を少し進め、とある沢の入口へ。
ここからは沢を詰めていきます。

 

沢の付近の木の根元に、木に取り込まれた栄養ドリンクの瓶が。
これは鉱山時代の物では無いと思いますが、木の成長力は凄いですね。

 

沢に入るといきなり石組の道らしき物が出てきます。
上記の資料にも有った、鉱石を運ぶソリ道の跡かと思われます。
この石組は沢沿いに所々残り、沢上部の採掘エリア付近までしっかり残っていました。

 

十二八州鉱山への沢ですが、こんな場所を登っていきます。

 

ご一緒した猟師さんが子供の頃にこの沢に入った事が有り、その際は沢沿いに有った坑口を見て怖くなって帰ったと話していました。
まずはその猟師さんが見たとされる坑口を探してみます。

しばらく進むと石組が有り、少し窪んだような地形が出てきます。
猟師さんも幼いころの記憶なので定かでは無いとの事ですが、この付近場所が坑口だった可能性が有ります。

 

 

さらに沢を登ると、石英脈の中に水晶を発見します。
小さいですが透明感があり綺麗ですね。

 

さらに沢を詰めていきます。

 

所々に立派な石組。
ここは作業小屋でも有ったのかもです。

 

今回は山深い場所なので、所々で猟師さんがクマよけの火薬を鳴らしてくれます。
普段は熊鈴だけなので、心強いです。

 

さらに少し進むと沢の上部の斜面に穴らしき物が見えます。
見に行くと坑口。

 

十二八州鉱山の坑口かと思われます。

 

早速坑道内を確認したら、左に少し進んで数メートルで行き止まり。

 

坑道内のマンガンズリの様子。

 

坑口付近のマンガンの露頭。
これを追って掘った物の、余り良いマンガン鉱脈では無かったのでしょう。

 

坑道内を確認する先生。

 

さらにこんな斜面の上部に穴らしき物が見えます。
かなり急ですが、見えたからには行かねば。

 

斜面を回り込んで岩場にたどり着くと、立派な坑口。

 

早速坑道内を確認しに向かいます。

 

内部は縦に掘られたマンガン採掘跡。

 

上部を見てもかなり高く掘られており、ちょっとしたホール状になっています。

 

そしてその先がまさかの水没坑道。
一段下に坑道が有るのですが、そこが水没しています。

 

水没坑道の左側は奥に坑道が続いている様です。


 

そして水没坑道の右側。
マンガン鉱脈が縦に有った様で、凄い深さまで掘られています。

透明度が高いので水中に坑木が見えますが、一番深いのは10mぐらいは有りそう。
そしてそれでもまだ底が見えないので、沢と同じ深さまで掘られているのかと思われます。

 

透明度が高すぎて青色が綺麗です。
勝手に根本山の青い洞窟と名付けてみました。

 

そしてこの青の洞窟の水がどこから来ているのかというと、さらに続いた坑道の奥から流れ出ています。

 

坑道の奥も確認したかったのですが、この水没エリアを越えなくてはいけません。
今回はトレッキングシューズなので、片足濡らせば行けるのですが、万が一水没坑道に落ちたらまずいので今回はここまでにしたいと思います。

 

ちなみにこの坑道の壁面には幾つかの石英脈が見られます。

 

この部分とか水晶ガマっぽいのですが・・・。

 

しかし足元がこれ。
水晶を取るにはこれを跨ぎながら岩を叩かなくてはいけないので、無理は出来ません。

 

手で獲れる範囲で幾つかの水晶をもぎ取って洗浄したら、1本だけ両錐の水晶が有りました。
小さいですが、両錐の水晶の採取は初めてなのでラッキーでした。

 

坑道内を確認したので戻って、下で待っていた先生と猟師さんに報告。
みんなで再度坑道内を確認します。

私はさらに斜面を登って、上部の鉱脈をチェック。
水の流れ出ていた坑道の方向に斜面を進んでみると、予想通り露天掘り跡をいくつか発見。
最初はここの露天掘りから始まり、深くなったところで坑道掘りを行ったのだと思います。

 

水没坑道に水晶脈が有ったので、この坑口下のズリを見ていたら、いくつか水晶を拾うことが出来ました。

 

さて、この水没坑道ですが、あれだけ深かったので、下部に通洞坑や大切坑的な坑道があると思うのですが、沢沿いにはそれらしき物が見つからず。
それと、水があれだけ溜まっていてさらに水が奥から供給されているのに、坑口からあふれ出ていないのが謎です。

この水没坑道の様子は動画でも撮影したので、Youtubeからどうぞ。

十二八州鉱山の水没坑道の動画

 

 

さて水没坑道を後にして、さらに沢の奥へと向かいます。

沢は相変わらず石組の道が続いています。

 

所々にマンガン鉱石。割ってみると、バラ輝石。
まだこの上部にもマンガン採掘跡が有る事が明らかです。

 

斜面に石組。
こちらは比較的規模の大きな炭焼き窯跡です。

 

この付近の沢の様子。

 

分かりにくいですが、沢沿いに道らしき物が続いています。

 

猟師さんが見つけた、大きなバラ輝石の鉱石。

 

バラ輝石のピンク色が綺麗ですね。

 

沢もだいぶ詰めたところで道とは違う石組が出てきます。

 

その石組の上部の斜面からズリ石が落ちて来ています。
メインの沢にもマンガンのズリ石が有るのですが、まずはこちらの斜面を見に行きます。

 

斜面はズリ石かつ濡れているので、何度も足を取られて滑り落ちそうになります。
ただ斜面を登るごとにズリ石の量が増えてきます。

 

しばらく登ると石組が見えてきました。

 

立派な石組の脇には坑口が連なっています。

 

石組も立派です。

 

一番大きな坑口前には立て札。

 

営林署の立て札で危険を促しています。

 

坑口ですが、斜め下に続いています。
この斜面には一人で登ってきてしまったので、無理はせず坑道内のチェックはパス。

 

採掘跡は上部にもいくつか連なっています。
こちらも坑口だけチェック。

 

さらに斜面上部にはマンガンズリが落ちているで登ってみます。

 

上部の岩場には露天掘り跡らしき痕跡。

 

ここも岩場の尾根を崩した感じです。

 

その岩場の尾根を回り込むように踏み跡が有ったので追ってみたら、尾根の反対側にも坑口。

 

坑口からライトで照らしたところ、それほど深くは無さそうです。

 

さてこのエリアを一通りチェックしたので、再び沢に下ります。
沢に下りると猟師さんが大規模なズリを見つけたとの事でそちらに向かいます。

沢を詰めてちょっとした滝の手前まで向かうと、一面マンガンのズリ。
下の画像の右側斜面が全部ズリ石です。

 

分かりにくいですが、この斜面が全部小割されたズリ。

 

ズリはこちら側の斜面上部から落ちて来ているようです。

 

こちらの鉱脈にも石英脈が有るようで、水晶もチラホラ落ちています。

 

ズリ斜面を少し登ると、ちょっとした滑滝。

 

流石にこれは登れないな~と思っていたら、滑滝上部に何か見えます。

 

ズームして撮影したら、堆積したズリに見えます。
マンガンの採掘エリアはあの上部の様です。ズリの量からもそれなりの採掘跡が有る事が伺えます。

 

ただしこれ以上は危険なので、登るのは断念。
今回はここで撤退します。

登って来たズリ斜面。
上から見るとかなり急です。

 

ズリ斜面を下った沢沿いには、怪しい平場が有りました。

 

ここには瓶や陶器の欠片が落ちていたので、作業小屋でも有ったのかと思われます。

 

さて、今回の探索では十二八州鉱山の坑道をいくつか見つける事が出来ました。
次回の探索では、今回たどり着けなかった採掘跡を目指したいと思います。

 

 

おまけ、猟師さんは沢の最奥から、このバラ輝石の塊を担いで降りてこられました。
下山して改めて確認しても、結構な大きさですね。

 

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