飯能市は上名栗にある人見鉱山探索

埼玉県

探索日:2022年3月27日および4月9日

今回は3月27日と4月9日にかけて、飯能市は上名栗にある各マンガン鉱山を探しに行きました。
まずは上名栗に有ったとされるマンガンを採掘していた人見鉱山(名栗鉱山人見鉱床)の探索です。

人見鉱山(名栗鉱山人見鉱床)とは

人見鉱山とは埼玉県飯能市の上名栗の人見地区に有ったとされるマンガン鉱山です。
名栗鉱山として「小松鉱山」「西平鉱山」と共に一体的な採掘も行われていたようです。

「小松鉱山」の探索記事はこちら。

飯能市は上名栗にある小松鉱山探索
探索日:2022年4月9日 人見鉱山探索後は小松鉱山の探索に向かいます。 飯能市周辺のマンガン鉱山については以下のページでもまとめているのでどうぞ。 小松鉱山とは 小松鉱山とは埼玉県飯能市の上名栗地区にあるマ...

「西平鉱山」の探索記事はこちら。

飯能市は上名栗にある西平鉱山探索
探索日:2022年3月27日および2022年4月9日 2022年3月27日と4月9日にかけて、飯能市は上名栗の西平にあるマンガン鉱山の西平鉱山を探索しに行ってきました。 西平鉱山とは 西平鉱山とは埼玉県飯能市の上名栗の西平地区にあ...

手持ちの資料では「日本のマンガン鉱床」「日本鉱床産誌」「埼玉県下に於けるマンガン鉱予備調査報告書」「鉱物採集の旅1 東京周辺をたずねて」にそれぞれ、人見鉱山についての情報が記載されています。
資料によっては名栗鉱山人見鉱床と記載されているものがあり、付近に有った小松鉱山、西平鉱山などと一体的に名栗鉱山としてマンガンを採掘していたようです。

日本のマンガン鉱床には以下の坑口の図と共に記載が有ります。

名栗鉱山
入間郡名栗村人見。人見鉱床と柏木鉱床が主な物である。
第166図に人見鉱床の位置を示す。
鉱石は良質の栗色炭マンで、飯能地域では大宮鉱山に次ぐ産額を記録した。

日本鉱床産誌には以下の記載があります。

名栗鉱山
埼玉県名栗村人見。八高線飯能駅の西方17km。
鉱石は炭マン。品位はマンガン30%~40%。
1939年から50年にかけて稼行し、マンガン1972トンを産出。
権者は日本満俺鉄株式会社。

埼玉県下に於けるマンガン鉱予備調査報告書には以下の記載があります。

名栗鉱山人見
鉱床の幅0.5m、深さ50m、延長50m、推定鉱量2000トン。
備考として約8000トンのずりがある。
飯能周辺地域の他のマンガン鉱山に関しては以下のページでもまとめています。

人見鉱山探索3月27日編

さて人見鉱山の探索です。探索は3月27日と4月9日の2回行っています。
ちなみに3月27日の探索では何も見つからず、ブログにて「きなこ様」からコメントおよびメールにて情報を頂き、4月9日に再探索で見つける事が出来ました。

まずは3月27日の探索です。
探索は東飯能駅からバスに1時間程乗り、人見のバス停に到着です。
バスは写真を撮り忘れてしまったのですが、ヤマノススメのラッピングバスでした。

 

バスから降りて準備をしたら、人見入橋を越えて林道人見入線に向かいます。

林道人見入線を歩くと脇には怪しい石垣がそこかしこに。

沢沿いには旧道の物と思われる道の石垣が。

斜面の平場には建物の基礎と思われる石垣。

山の斜面にも林業か畑用だったと思われる石垣が見られます。

さらに林道を進んでいくと、正式な林道人見入線の起点が出てきます。
車両は通行止めの様ですが、道はまだ続いているので進んでみます。

車両は通行止めなものの、まだしっかり管理されている道の様です。
林道の途中にはこんな切通しが有ったりします。

側面には何か鉱物を含んでそうな露頭も有ったり。

とりあえず林道を1時間程進んでみますが、鉱山跡らしいものは見つからず。
標高もかなり高い場所まで行ってしまったので、林道を戻って怪しい沢に入って探索してみます。

幾つか入った沢のうちの一つがここ。
この沢、実は人見鉱山のすぐ隣の沢だったことが後日の探索で判明。
沢の入り口は同じ場所だったので、ちょっと惜しかったです。

さて沢の探索ですが、ここでもいろいろな場所に炭焼き窯の跡と思われる石積みが出てきます。

また、別の場所では石灰岩を積み上げたとみられる石積みも発見。

なんでここだけ石灰の石積みなのか不思議です。

元から有ったと思われる石灰の岩の上に積み上げている感じです。

ここは90度に折れて積まれています。

この石灰の石積みの上にはかなり太く立派なヒノキが立っていました。

この石灰の石積みはもしかしたら、お寺か神社の跡だった可能性も有りそうです。

そんなわけで人見入りの沢を色々探索しましたが、この日は人見鉱山を見つけられず。
別の鉱山探しに向かいました。

 

人見鉱山探索4月9日編

前回の探索で人見鉱山が見つけられませんでしたが、後日ブログのコメントからやり取りさせていただいている「きなこ様」より、人見鉱山と小松鉱山の情報を提供していただけることが出来たので、その情報を元に再探索です。

この日も東飯能駅からバスに乗り人見のバス停へ。
前回はまだ桜は咲いていませんでしたが、今回は桜の花びらも開き始めています。

そして今回も乗ったバスはヤマノススメ号でした。

バス停で準備後、再び林道人見入線に向かいます。
前回ゲートはしまっていたのですが、今回は開いています。
山菜取りか何かで誰か来ているのでしょうか?

今回はいただいた情報を元に、人見鉱山が有ると思われる沢に向かいます。
頂いた情報ではとあるものの先に坑口が有るとの事でしたが、気が付かず先に進んでしまいます。

それが功を奏したのか、前回と違う沢を進むことに。
そしてしばらく行くと沢の脇に石積みを発見。

石積みの上は平場になっています。

平場の上はマンガンのズリ石。
ということは、有りますね近くに坑口が。

 

はいすぐ脇に有りました。坑口。

坑口に近寄ってみます。

坑口を覗き込んでみるとこんな感じ。
奥はかなり深く、水も流れています。

遠方まで光を届かせることのできるライトに切り替えましたが、それでもは見えません。

この坑道かなり風も吹き出しているので、どこかと続いている様子。
ただ、トレッキングシューズだと地味に濡れそうな量の水が流れているのと、比較的狭く奥も見渡せないので今回は入らず。

それと気になったのが、この水と坑道の床面の石。
周りの岩盤の岩ではないようなものも転がっています。

これ、この坑口の先のどこかが隣の沢と繋がっていて、沢から流れ込んできている気がします・・・。

 

とりあえず最初の坑口を覗き込んだ後は、沢の先を進んでみます。
坑口の有る岩山の脇には、沢の堰堤と見られる立派な石垣が。

 

先ほどの坑口と石積み堰堤の位置関係はこんな感じ。
坑口の方向が石積み堰堤の方に進んでいるので、水と石は沢の先から流れ込んでいる可能性が高そうです。

 

さて石積み堰堤ですが、2段になっているので脇の斜面から越えていきます。

石積み堰堤を越えようとした斜面がこんな感じ。大量のズリ石です。
ということはこの先にも坑口が有りそうな感じ。

斜面を越えると平場が出てきます。

平場はこんな感じのマンガンのズリ石となっています。

 

平場の奥には怪しい石積みが見られます。
両サイドに石が積まれており、その奥には怪しい隙間が見える岩が・・・。

石積みの上部から眺めた様子。

岩の下には怪しい隙間が見られます。

怪しい隙間を覗き込んでみると坑道を発見。
ここの岩の隙間は崩落した坑口の様子。

行動の方は水没かつ、岩の隙間が狭すぎてどこまで繋がっているかは分からず。
ただ平場のズリ石の量からすると、結構奥まで掘っていそうな感じではあります。

潰れた坑口の上部の斜面にもいくつかの石垣が見られます。
登って確認してみましたが、こちらには坑口や採掘跡などは見つからず。

さて平場からさらに沢沿いを先に進みます。
沢にはまだ立派な石積み堰堤が続きます。

石積み堰堤を越えると沢沿いに新たな坑口を発見。

坑口から覗き込んでみますが、それほど深くはなさそうです。
とりあえず坑道探索は後回しにして、さらに沢の先を探しに行きます。

先の坑口の裏側には斜面に沿っていたマンガン鉱脈を掘ったと思われる採掘跡があります。

こちらはそれほどマンガンが無かったのかちょっとした露天掘り程度。

中は少しだけ掘られています。

こちらは下部側。
沢から染み出したと思われる水が採掘跡の隙間に流れ込んでいます。
それと川砂利のようなので埋まっているので、沢が増水するとここまで水が来るようですね。

 

もう一か所の採掘跡。

こちらはたぬき掘りの様な感じで数メートル掘られています。

露天掘り跡を見た後はさらに沢沿いを先に進みます。
すると再び大規模なズリ跡が。
人見鉱山は何か所も採掘跡が有り、比較的広範囲にマンガンを採掘していた様子が分かります。

ズリの石の様子。

ズリの上部には2か所の採掘跡が有ります。

左側の採掘跡は余りマンガンが出なかったのか、試掘程度しか掘られていませんでした。

そして右側の採掘跡は下部に向けて垂直に3m程掘られており、そこからさらに両サイドに向けて狸掘りのように坑道が続いている様子が見られました。

 

採掘跡を見つけた後はさらにほかの場所を探して沢を登ります。

岩山に怪しい窪みを見つけたので近寄ってみましたが、こちらは採掘跡では無くただの窪みでした。

そしてどこの山でも目にするお約束の炭焼き窯の跡の跡と見られる石垣。

さらにちょっとした滝も乗り越えていきます。

滝を越えると急に開けた場所が出てきます。

さらに進むと前回歩いたとみられる林道が出てきます。
ここまで来るとこの先はもう何もなさそうなので、登ってきた沢を降ります。
人見鉱山はもしかしたら、林道から下って来るアクセスルートの方が楽かもですね。

 

さて沢を下ってからは途中で見つけた坑道を探索してみます。

 

坑口から入った直ぐの様子。

坑口脇には左下に続く狸掘りのような竪坑が有ります。
下部は斜めになっているので深さは分かりませんが、石を落としてみたところ4~5mといったところでしょうか。

坑道の正面は直ぐに行き止まりですが、鉱脈に沿って掘ったとみられる穴が左下に続いており、右側にも分岐が有ります。

鉱脈に沿って左下に沿って掘った穴。
真ん中付近には岩盤を支える残柱が残っています。

斜めに残る残柱。

 

下部を覗き込むとこんな感じに掘られています。
掘った穴は左奥にも続いており、先に紹介した坑口脇の竪坑と繋がっている模様。

 

そして右側の分岐はこんな感じ。
分岐した直ぐの場所に橋のように岩盤が残されており、その両サイドは真下に掘り込まれています。

 

岩盤の橋の先はこんな感じの狸掘りになっています。
狸掘りの部分は奥から水が染み出していると共に、沢から流れ込んだと思われる石が多数。

今は石で埋まっているのですが、元々は沢沿いに有った露天掘りの場所に繋がっていたのだと思います。

さて岩盤の橋の右側はこんな感じに掘られています。
怖いのであまり覗き込みませんでしたが、深い所で5メートルぐらいは有りそうです。

岩盤の橋の左側。
こちらも同じぐらい掘られており、狸掘りの場所から流れ込んだ水が滴り落ちています。

下部を照らしたら、赤いチャートがなんとも禍々しい。

 

こちらは坑道の中から振り返った坑口方面。

今回は行った坑道内の様子は以下の動画からもどうぞ。

この坑道奥行きは有りませんでしたが、下部に鉱脈が有ったようで複雑に掘り込まれていました。
多分ですが、内部で外の露頭掘りの採掘場所と繋がっていたほか、位置的に下部で平場に有った崩落した坑口とも繋がってそうな雰囲気が有りました。

 

また、人見鉱山は下部に掘り込まれている部分が多いことから、一番最初に出てきた奥行きのある坑道が大切坑的な扱いで、ズリ捨てや水抜きに使われていたような感じもします。

人見鉱山全域の様子も動画で撮影してみたので、興味が有りましたらどうぞ。

 

そんなわけで人見鉱山のメインエリアを一通り探索したので、最後は帰りがてら、「きなこ様」に教えてもらった坑口を探します。
坑口が思われる斜面をウロウロしていると、目的の坑口を発見します。

中を覗き込んでみましたが、残念ながら深さ3~4メートルぐらいの試掘跡でした。

 

この坑口のある周囲も軽く探してみましたが、特に何も見つからないので林道に戻って下山。
お次は同じく名栗鉱山として稼働していたとみられる小松鉱山を探しに向かいます。

飯能市は上名栗にある小松鉱山探索
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