群馬県下仁田町の中小坂鉄山探索

下仁田町

探索日:2022年12月31日

この日は大みそかですが実家に帰りがてら、実家近くの下仁田町と富岡市の穴関係を探索したいと思います。実際には実家に帰るのが目的より、探索のついでに実家に泊まる方が近いですが・・・。

そんなわけでまずは下仁田町にある中小坂鉄山に向かいたいと思います。

中小坂鉄山とは

中小坂鉄山とは群馬県甘楽郡下仁田町の中小坂地区にあった鉄鉱山です。
中小坂鉄山は江戸時代に発見され、幕末には水戸藩が大砲などの兵器作成の為に造った那珂湊反射炉へ鉄の材料を供給した他、明治時代に入ってからはイギリスの技師を雇い入れ近代的な洋式の高炉を作成し、近代的な製鉄を行っていました。

中小坂鉄山の付近には、昭和時代に入るまで鉄鉱石を採掘していた近江山鉱区や、坑道掘りをしていた春日田鉱区などがあったとされています。

今回はこの中小坂鉄山と、事前調査で場所を特定できた春日田鉱区の坑道へと向かいます。

中小坂鉄山探索

探索のほうですが、電車で高崎駅に向かい、高崎駅からはゼロ番線にある上信電鉄で終点の下仁田駅を目指します。

 

大みそかの朝早い下り列車ということもあり、列車内の人はまばら。
一ノ宮駅を過ぎたあたりから人が誰も居なくなり、2両の列車は私一人の貸し切りです。

 

上信電車は珍名クイズなどによく出る「なんじゃい」駅も通過します。

 

終点下仁田駅には9時半前に到着。
ここで準備をしたら目的の中小坂鉄山まで歩きます。

 

下仁田駅から歩いて1時間かからずに中小坂鉄山に到着。
ジオパークになっているようで、入り口付近には看板も有ります。

 

少し進むと中小坂鉄山の案内図も有り、坑口などの位置が分かりやすいです。
普段探索している小規模マンガン鉱山などには、案内図など無いのでありがたいですね。

 

最初はこんな林道を進みます。

 

林道を数分歩くと最初の坑口を発見。
どうやらここが第一坑口のようです。

 

坑口の脇には中小坂鉄山の案内板が有ります。

 

さて坑口の方はというと。

 

しっかりと門で閉じられていました。

 

隙間から覗き込んだ坑道の様子。
手前は土が盛られており、奥は下っているようです。

 

最初の坑口を後に先に進みます。
中小坂鉄山のある谷は鉱山施設の跡なのか、至る所に立派な石組が有ります。
ここも古くは建物が有ったのでしょう。

 

斜面に坑口らしきものを発見したので近づいてみます。

 

見つけた坑口は残念ながら1メートル程度の試掘でした。

 

林道に戻り先に進みます。
この辺りの林道には、ここで採掘された鉄鉱石のズリ石と思われる石が落ちています。

 

鉄の原石ということも有り、手で持つとずっしりと重いです。

 

林道の途中には坑道や石宮などの案内の矢印が有りましたが、林道先の沢が怪しい感じなので道を外れて進んでみます。
林道の先には平場があり、その先に穴らしきものが見えます。

 

近づいてみると立派な坑口を発見。

 

近づいて坑口前へ。
この坑口は周りの岩も綺麗にされており、主力級の坑道だったと思われます。

 

坑道の様子はこんな感じ。
坑道の壁面が綺麗に掘られているから、江戸時代とか明治初期の物でしょうか。

 

林道に戻り案内に沿って先に進みます。

 

少し登ると坑口が有ります。
坑口前に柵が有りますが、落石が有ったようでひしゃげています。

 

柵の隙間から眺めた坑道内の様子。

 

その先にももう一つの坑口。

 

こちらも柵でしっかりと封鎖されていますが、奥は続いているようです。

 

この坑道の先で道が消えていたので、ここで終わりかと思いましたが、さらに上にも平場のようなスペースが見えます。
ルートが分からないので直登します。

 

この斜面も鉄鉱石のズリ石と思われる黒い石が沢山転がっています。
これがズリ石なら、この上部でも採掘を行っていたことになります。

 

斜面を登ると平場があり、いくつかの坑口が見られます。
やはりここでも採掘が行われていたようです。

 

周囲には小規模な坑口がいくつも有りますが、どれもそれほど奥には続いていません。

 

この付近は坑道採掘と同時に露天掘りもしていたような様子。
怪しいのでこの急斜面をトラバースして先を見に行ってみます。

 

斜面の先も露天掘りと幾つかの小規模坑道が有りました。

 

この斜面は左側に幾つかの坑口があり、さらに上部を露天掘りしていたような感じです。

 

斜面も崩れたと見られる石と共に、鉄鉱石の様な黒石が混じっています。

 

幾つかの小規模坑口。
何れも数メートルしか掘られていません。

 

落石に気を付けながらさらに斜面を登ってみます。

 

一番上部の崖下には鉄の鉱脈に沿って掘ったような跡が有りました。
崩れた石で埋まっていますが、この下には坑道が有ったかもしれません。

 

露天掘り付近から降りて平場付近に戻ります。

画像ではわかりにくいのですが、この付近は盛り土があります。

 

盛り土のスペースの真ん中付近はへこんでおり、石組らしきものが見られます。
この構造からするとここが火薬庫跡の場所だと思われます。

 

火薬庫から先に進むと大規模な採掘跡が出てきます。
ここは鉄の鉱脈が縦に走っていたのでしょう、3段の採掘跡が残っています。

 

一番下の部分は上からの土砂で埋まっています。

 

下から見上げた上2つの採掘跡。

 

 

斜面を登って2段目の採掘跡へ。
ボーリングの跡でしょうか、丸い穴が残っています。

 

2段目は坑道の様になっています。

 

奥を照らすと坑木らしき木が何本か落ちており、若干奥に続いている様子。
ただこの付近は落ち葉が堆積しており、どこが穴か分からないので先には進まず戻る事に。

 

更に道に沿って先に進みます。

 

所々では案内と思われるトラロープがあるので、それに沿って歩きます。

 

途中には立派な石組も有ります。
山の斜面ですが、ここにも鉱山関係の建物が有ったのでしょう。

石組の先には再び大規模な採掘跡が出てきます。

 

下の坑口の様子。

 

落ち葉に埋もれていますがもう一つ坑口が有ります。

 

その脇には看板が有りますがほとんど読めず。
他のサイトの写真を参考に文字を起こすと「採掘跡の大ホール。この鉄山で最大の鉱脈が有った坑道です。採掘跡は高さも幅も20メートル以上の大ホールになっています。」との事。

この岩の中に20メートル四方のホールが有るとは。
立ち入り禁止では無かったら見てみたかったです。

 

その先にも看板が。
こちらは「露頭に続く鉱脈。鉱脈は太くなったり、細くなったり、斜めにもなっています。その一部は外にも顔を出し露頭と呼ばれています」との記載。

 

この辺りの黒い部分が鉄の鉱脈の露頭の様です。

 

露頭の先にもロープが有るので、それを伝って先に進んでみます。

 

トラロープに沿って進むと、先ほど見た3段の採掘跡の上部に繋がっているようです。
ロープが有るとはいえ落ち葉の積もる急斜面なので慎重に歩きます。

 

3段の採掘跡の一番上部の坑口が見えてきました。

 

坑口の脇には鉄鉱石の鉱脈がはっきり見えます。

 

坑口到着。

 

採掘跡の石が積もっており、奥には続いていないようです。

 

上から見下ろすと採掘跡はこんな感じ。

 

 

いったん戻ってさらに先に進みます。
ここで終わりかと思ったら、その先の岩場にもトラロープが。

 

なんとも頼りないロープですが、まだ先にも何かが有るようなので進んでみます。

 

ロープの先にも坑口が見られます。

 

小さい坑口ですがしっかり封鎖されています。

 

もう一つの坑口。

 

こちらも封鎖。

 

 

更に上を目指すとフェンスで囲まれたエリアに採掘跡の穴が開いています。

 

覗き込むとこんな感じ。
この下部に有った20メートル四方のホールの上部の様です。

 

その先には石宮。

 

樹が生い茂っており見晴らしはそれほど良くありませんが、周囲の山を見渡すことが出来ます。

 

最上部の祠まで登ったので、後は下ります。
登るときには気が付かず、途中を直登したのですが、下ってきたらしっかり上までの登山ルートが有りました。
ただ入り口付近で入山禁止になっていたり。

 

採掘跡を見学したので、最後は採掘した鉱石を麓の製鉄所まで運んだトロッコ跡を歩きます。

 

トロッコ跡の脇にはコンクリートでできた遺構が有ります。

 

トロッコ軌道跡の脇にも坑口が有ります。

 

坑口脇には看板が有りますが、ボロボロで文字が読めず。

また他のサイト画像を参考に文字起こしをしてみると「全国的にも珍しい坑道。この坑道は入口より二手に分かれ400メートル程奥には竪坑があります。鉱石をトロッコで運び出したレール後もはっきり見られます。」と書いてあったようです。

 

どうやらこの坑道は上部に有った、20メートルのホールで採掘した鉱石を竪坑で落とし、それを運び出すための大切抗の様な役割だったのでしょう。
坑道内を覗き込んでみると、トロッコが走れるように幅も広くしっかりと作られています。

竪坑が有るとの事で金網でしっかり封鎖されていますが、空いていたら探索してみたかったですね。

 

さて、さらにトロッコ軌道跡を進みます。

 

途中には散策用に橋も設置してあります。

 

トロッコ軌道脇の石積み。
こちらは作りからすると炭焼き窯跡の様です。

 

さらに進みます。
この辺りは広く作られて、路面もしっかりと残っています。

 

その先には小規模ながら切通し。

 

切通しを反対から見た様子。
切通しの外側にも路面らしきものが有ったので、ここだけすれ違いの為に複線にしていたのでしょうか。

 

さらに沢を1つ越えて進みます。

 

ところが唐突にトロッコ軌道跡が消えてしまいます。
ここで終点だったのか、それとも斜面が崩落してしまったのか。

 

足元には鉄鉱石と思われる石が落ちているので、ここまで運んでいたのは間違いなさそうです。

 

そんなわけで中小坂鉄山を一通り見て回ったので、最初の林道に戻って下山します。
林道の脇の斜面には先ほど歩いたトロッコ軌道跡が見えますね。

 

ちなみに車で来た場合は中小坂鉄山のちょっと先に有る駐在所前が駐車場になっているようです。

 

こちらにも中小坂鉄山の案内板が有りました。

 

お次は中小坂鉄山と一体的に鉄を採掘していた、春日田鉱区を探しに行きます。

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