探索日:2021年4月18日と2023年3月16日
大宮鉱山は2021年4月18日と2023年3月16日の2回にかけて探索しています。
2021年の探索は時間が無かったのとぬかるみに阻まれ軽い探索のみ。その後の2023年の探索では大宮鉱山の奥まで向かい、数多くの坑口を発見し、その中でも幾つかの坑道内に潜ってみました。
大宮鉱山とは
大宮鉱山は日高市の高麗神社脇の沢にあるマンガン鉱山です。
大宮鉱山は明治29年頃に埼玉県の新禮助なる人物が発見し、その後、大宮伊八氏、籾山藤五郎氏、浅野加古三氏、地崎精二氏、河合正臣氏、白石琢二氏などに鉱業権が移り、昭和12年には日本鋼管株式会社の手に渡りました。
この鉱山は大宮鉱山の名で知られていますが、河合正臣氏が所有していた時期は河合鉱山とも呼ばれることも有ったようです。
埼玉県最大級のマンガン鉱山として知られ、初期には二酸化マンガンを採掘、その後は炭酸マンガンを採掘していました。また、銀も採掘していたと記録も有ります。
大切坑の他、斜度80度、深さ20メートルの斜坑を用いて採掘を行っていました。
※参考資料『最新大日本鉱山史』
また『写真集明治大正昭和日高 : ふるさとの想い出285』には大宮鉱山の2枚の写真が掲載されています。
※写真集明治大正昭和日高 : ふるさとの想い出285より
2021年4月18日の探索
さて最初の探索である、2021年4月18日の探索になります。
飯能市の高麗本郷のマンガン採掘跡探索&日和田山から下山した後は、この日最後の探索地である大宮鉱山に向かいます。
大宮鉱山に行く前にまずは目印となる高麗神社に向かいます。
何気に高麗神社に来るのは初めてです。
折角なので高麗神社に参拝してから大宮鉱山を目指します。
大宮鉱山が有ると思われる沢の入り口付近は普通に民家が立ち並んでおり、最初は行き方がわからずウロウロ。
そのうちそれっぽい場所道を見つけたのでそこから入ります。
沢に入ってすぐの場所から、足元には黒いマンガン鉱石が散らばっています。
どうやら沢全体がズリ石エリアになっているようです。
ちょっと行くと鉱山の遺構とみられるコンクリートマスが有ります。
脇の斜面にはレンガと採掘跡なのか窪んだ部分があります。
落ち葉に埋まっていてわかりにくいですが、コンクリート土台か何かがあります。
さらに奥に行くとマンガンを採掘していたと思われる採掘跡があります。
採掘跡の近づこうと思いますが、前日の雨の為かこの沢全体が沼地状態に。
トレッキングシューズでは完全に埋まるので、今回は眺めるだけ。
大宮鉱山は今もいくつかの坑道が残っているとの事で別のエリアも探してみます。
別のエリアには井戸の様な遺構が有ったり。
鉱石を運んでいたと思われる物なども残されています。
さらにその先行こうと思いましたが、先はこのような湿地なので断念。
最後はズリ石エリアの石を見ていきます。
マンガン鉱石は沢全体に落ちており、湿地エリア以外はどこでもこんな感じです。
日も陰ってきたのでちょっとだけ石を眺めてみますが、あまり純度の高いのはなさそうです。
若干色の入った石もありますが、こんな感じ。
同じマンガン鉱山でも桐生市エリアの鉱山の鉱石とはだいぶ違いますね。
そんなわけで大宮鉱山探索終了。
今回は水とぬかるみに阻まれてあまり探索できなかったので残念。
自宅のさいたま市から比較的近い鉱山なので、今度は長靴を持って再度探索に来たいと思います。
2023年3月16日の探索
2回目の探索は初回の探索の約2年後になります。
この日は日和田山周辺の鉱山跡探索を行いましたが、採掘跡と思われる場所が無かったり、穴と思ったら窪地だったり、穴では無く炭焼き窯の跡だったりと成果が出ず。
そのため、最後に何か穴を見たいと思い、日和田山から近い大宮鉱山の探索リベンジになります。
まずはマンガンズリで埋め尽くされた沢の道から入ります。
石マニアが時折来ているようで、割られたマンガンも見られます。
まずは以前発見した坑口らしき物。
今回はライトが有ったので照らして覗き込んでみたら、坑口では無く窪みか試掘跡でした。
ここから斜面を見上げると怪しい地形が有るので近寄ります。
近寄ってみると採掘跡を発見。
ここは埋まっているものの奥に隙間が有り、風が吹き出してくるのでどこかと繋がっているようです。
さらに斜面を見上げるとマンガン鉱脈に沿って掘った採掘跡が出てきます。
下の穴は縦に掘り込まれています。
ここが先ほどの採掘跡に繋がっているようです。
その上には明らかな坑口が開いています。
覗き込んでみたらほぼ埋まっていました。
ただ右斜め下には狭いながらも続いている様子。
更に登ると斜め下に掘り込まれた坑口を発見。
ロープが無くても降りられそうな斜度ですが、ソロ探索なので万が一が有ったらまずいのでここはパスします。
さらにほぼ埋まっているものの採掘跡が有ります。
ここまでで丘を登り切ったので、今度は丘の反対側に降りてみます。
丘の反対側もマンガン鉱脈が繋がっていたようで、一直線にいくつもの採掘跡が見られます。
何れも斜め下に掘り込まれています。
埋まりかけていますが、2つの採掘跡。
丘を降り切った沢底には大きな採掘跡が有ります。
画像ではわかりにくいですが、それなりの深さで落ちたら自力では上がってくることが出来なそうです。
沢の底に露天掘りで掘っていますが、雨が降ったら排水などはどうやっていたのでしょうか?
高い場所から見下ろすと丘の斜面に採掘跡が並んでいます。
沢底の採掘跡脇には、坑口が開いています。
照らしてみると結構奥に続いている様子。
ただ坑道の高さが1メートルちょっとしか無く、入る際には屈ん行かないといけないので腰に負担がかかりそうです。
でも見つけたからには入ってみます。
入って数メートル行くと左側の掘られ、隣の採掘跡と繋がっています。
本線に戻るとここからは軌道が敷かれていた跡が残っています。
この狭い坑道内も手押しの物とは思いますが、トロッコが走っていたようです。
坑道内の軌道跡。
軌道跡をしばし進むと奥が広くなっています。
ここは鉱脈が広がっていたのでしょうか。
壁面の様子。
黒いマンガン鉱石らしきものが残っています。
その奥もまだ続いている様なのですが、さらに狭くなり崩落もしていそうなのでここで撤退。
坑口方面に戻ります。
この坑道の探索の様子は動画にも撮ってみたので、興味が有りましたらどうぞ。
坑道からでて先の斜面を登ります。
少し登ると採掘跡が顔を覗かせています。
どうやらここは先ほどの坑道内にあった左側の分岐と繋がっている場所の様です。
さらに斜面を登ると、またいくつものマンガンの採掘跡が出てきます。
そして一か所整えられた立派な坑口が出てきました。
ここも坑道内に入れそうなので中を探索してみます。
坑道内は入って直に右側に分岐しています。
右側を覗くと、まっすぐ進む坑道と、左下に落ちる斜坑が有ります。
正面の坑道の様子。
斜坑が近く怖かったので先には進まず。
そして斜坑の様子。
石を落としてみると、壁面にぶつかりながら10秒ぐらいガラガラ落ちて行ったので、結構深さは有りそうです。
ここも落ちたらヤバそうなので、早々に撤退。
この辺りの壁面の様子。
マンガンの鉱脈が続いているという芳、チャートと斑に混じっているようです。
今度は坑口から正面を進みます。
突き当りかと思ったら左下に続いており、丁寧に階段まで作られています。
階段を降りると正面には何かを置いたような跡が残っています。
マンガン鉱山では天覧山のマンガン採掘跡や、三石鉱山でもこのような跡が残っていたのを確認しています。
坑道はさらに左に続いているので進みます。
すると再び階段が出てきます。
しかしその先は続いておらず終了。
てっきり先に有った斜坑下部まで続く人道かと思ったのですが、階段2つで終わってしまっていたので残念。
こちらの坑道の探索も動画に撮ってみたので、興味がありましたら是非見てください。
階段のある坑道を出てさらに斜面を登ると、またもや採掘跡。
中は狭いながらも縦に掘られていました。
あまり中は確認しませんでしたが、埋まっていそうながらも奥と左下に掘った跡らしきものが見られます。
その後も少し斜面を登りましたが、これ以上の採掘跡は発見できなかったので、斜面を下ります。
斜面を降りて少し探索するとコンクリート枠でできた遺構を発見。
小さいながらもダイナマイト置き場っぽい気もしますが詳細は不明。
そしてその先にも埋まりかけた坑道を発見します。
殆ど埋まっているので隙間から覗き込んでみます。
割としっかりしており奥まで繋がっていそうです。
位置的にも今まで有った採掘跡から繋がる、大切坑的な坑道の気がします。
最後は前回の探索でも見かけた幾つかの遺物を見つつ探索終了。
今回の大宮鉱山探索では、いくつものマンガン採掘跡や坑道を見つける事が出来ました。
また大宮鉱山は埼玉県でも最大級のマンガン鉱山で有ったことや、先の資料の内容や既に探索した方々の記事を見ると、地下に何層にもわたって採掘跡が有るとの事で、いつかは下層の探索にも挑戦したいと思います。
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