日光市の小百鉱山探索

日光市

日光市の小百鉱山探索に行きました。

探索日:2021年4月24日

 

日本地方鉱床誌関東地方によると、小百鉱山は主に金を採掘していたほか、黄銅鉱、黄鉄鉱、方鉛鉱、閃亜鉛鉱などを含む鉱脈が有ったとの事。

鉱脈は木戸ヶ沢鉱山の延長上に当たるらしく、木戸ヶ沢鉱山と似たような鉱石が採れたようです。

 

産総研の資料によるとかなり古くから採掘が行われていたようだが詳らかではなく、記録が残っているのは大正3年に小林鉱業株式会社が機械採掘を始め、大正5年10月から合名会社藤田組の所有になったと記載あり。

また坑夫や選鉱夫など20人が働いており、坑道は大切坑、筒置坑、中切坑、上1番坑から下3番坑などがあり総延長は2245メートルとの事。

 

 

探索のスタート地点は東武鉄道鬼怒川線の大桑駅からです。

 

駅を出てからしばらく歩き、山の方面に向かうとこんなのどかな田園風景が広がります。

ちょうど田んぼに水も入っており、新緑の山と相成っていい感じですね。

 

さらに歩いて、林道の小沢入線の始点に到着。

ここからは林道を歩きます。

 

林道はこんな感じで、小百川に沿って伸びています。

 

 

林道をしばらく歩くとなにやら施設が出てきます。

ここはどうやら小百鉱山から出る鉱水を処理する施設の様です。

あとで調べたところ、公益財団法人資源環境センターの平成30年の資料に記載があり、ここは「小百鉱山大切坑前坑水処理場」との事。

 

こちらは沈殿施設。

 

こちらは水の流量か何かを調節してる機器の様です。

 

とりあえず施設から延びる廃鉱水を流していると思われるパイプを追っていきます。

 

パイプはこんなコンクリートで覆われた場所につながっていました。

どうやらここが大切坑跡の様です。

ちなみに大切坑とは鉱山下部付近に掘られる坑道で、主に鉱山で出た水を排水するために使用している坑道を指します。 

コンクリートの上に登ってフェンスの中を覗き込んでますが、鉄板で蓋がされていました。

 

大切坑の脇には「無縁之碑」と掘られた石碑が有ります。

 

裏を見ると「合名会社藤田組小百鉱山有志一同」とあります。

ちなみに藤田組とは現在のDOWAホールディングスの前身組織です。

 

 

大切抗と石碑の有った場所から林道を少し歩くと、鉱山施設の跡地と思われるコンクリートの遺構や石積みなどがいくつか出てきます。

 

そのエリアの上に向かうと、比較的新しいコンクリートの水路が有ります。

訪れた際に水は流れていませんでしたが、雨後などには流れ出た鉱山廃水を処理するために設置しているようです。

 

この水路付近に落ちていた石はこんな感じ。

小さい黄鉄鉱だか黄銅鉱だかも含まれています。

 

上記の水路に沿ってさらに登ると、排水用のパイプが放置されていたり、石積みなどが出てきます。

 

 

山肌を眺めると採掘跡が有ります。

坑口に近づいてみましたが土嚢でしっかりと閉塞されています。

 

近くには土砂でほぼ埋まっている坑口跡も。

 

さらに奥に行くと、これまた土嚢をみっちり詰め込まれた坑口があります。

土嚢の隙間にスマホを突っ込んで写真を撮ったら坑道内部はこんな感じでした。

 

さらに沢の上部にも土嚢で閉じられた坑口跡。

 

坑口が有った沢から下を眺めるとこんな感じ。

 

その脇の山肌にはこんな切れ込みもありましたが、こちらは採掘跡ではなく単純に大岩が割れただけの様です。

 

この辺りの岩肌はこんな感じ。

青い色の部分は銅っぽい。

 

こちらは酸化して焼けの有る岩。

ここはもしかしたら露天掘り跡かもです。

 

さらにメインの沢を登ってみます。

 

登ったところにも坑口跡が有ります。

こちらの坑口を隙間から覗き込んだらこんな感じ。

 

沢を一通り回ってみて確認できた坑口跡は以上。

こんどは沢を下りながら遺構を見ていきます。

 

ちょっと降りると四方を土壁に囲まれた平場が2つ連なっています。

地形からここには火薬庫が有った雰囲気です。

 

過去に鉱山施設が有ったであろう平場もいくつかあります。

 

そのうちの一か所にポツンと石碑が。

石碑には「大山衹命」と掘られています。

どうやら小百鉱山の山神様の様です。

 

裏は見にくいですが、「明治四十年六月吉日」と日付が掘られています。

それ以外にもいろいろ掘られていますが解読できず・・・。

 

石碑の跡は最初の林道沿いにあった鉱山施設の遺構を見て回ります。

ここはホッパー跡っぽいですね。

 

比較的高さのある石垣跡も見られました。

 

小百鉱山の探索を一通り終えた後は、すぐ脇を流れる小百川へと向かいます。

なぜ川へ向かうかというと、次に探索予定の滝頭鉱山が小百川を挟んだ対岸にあるためです。

川を迂回すると約二km下流の橋を渡らなくはならないため、往復で四キロ近い遠回りになります。

徒歩で四キロだと結構つらいので、あわよくば川を渡ってしまおうという考えです。

 

そんなわけで川に向かおうと河川敷に行くと、こんな木枠で囲われた場所を発見。

ここはもしかしたら昔の鉱山廃水処理場の跡地で、沈殿池だった場所かもしれません。

 

ちなみに近くには野生動物捕獲用のくくり罠も有ったので、足元に注意して河川敷を歩きます。

 

河川敷をやぶ漕ぎして水辺に到着。

ちょうど水も少ない時期でこれなら渡れそうです。

一番川幅が狭く良い感じに石が有るところを見つけたので、この石の上をピョンピョンと渡って濡れることなく無事対岸へ。

 

小百川の水はとてもきれいで、渓流釣りがしたくなるような雰囲気でした。

 

そんなわけでお次は滝頭鉱山探索です。

 

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