皆野町の日野沢鉱山元山鉱床探索

埼玉県

探索日:2022年4月30日

石灰採掘窯跡を探索した後は日野沢地区に有ったマンガン鉱山跡の日野沢鉱山を探索しに向かいます。

皆野町は日野沢の石灰焼窯跡探索
探索日:2022年4月30日 日野沢川沿いに有った小規模鍾乳洞探索の後は、石灰焼窯跡の探索に向かいます。 今回向かう石灰焼窯跡は日野沢川沿いの道から眺める事が出来ます。 すぐ脇は破風山に向かう登山道...

日野沢鉱山とは

日野沢鉱山とは埼玉県皆野町の日野沢地区にあるマンガン鉱山で、埼玉県内のマンガン鉱山でも大宮鉱山、大蔵鉱山と同様の規模の大きな鉱山だと言われています。

日野沢鉱山については『埼玉県地下資源報告書』に以下のような記載が有ります。

位置及び交通
日野沢鉱山は埼玉県秩父郡皆野町日野沢にあり、鉱床は標高350メートル付近に分布している。鉱石の搬出は現場より索道によってバス道路まで運び、小型トラックで皆野駅まで運搬される。
鉱区
鉱区番号:埼玉県採登第67号
鉱業権者:東京都世田谷区世田谷4の636 高橋伸彰
鉱山事務所:埼玉県秩父郡皆野町大字日野沢2762-2
沿革および現況
本鉱山は昭和30年頃林業者が露頭を発見し2~3人の手を通り、同年9月現行業者が鉱業権を取得した。昭和34年から稼行を始め現在まで約1万5千トン(Mn平均35%)を出鉱している。現在、従業員18名(職員2、男8、女8)で、月産300トン(昭和38年9月~10月)を出鉱している。
出荷先は東北電化工業株式会社、三井金属竹原工場、神戸製鉄所である。
鉱床
鉱床は元山鉱床と若浜新鉱床の2つが有る。
元山鉱床は沢辺集落の南方500メートルに有り、標高350メートル付近に露頭が見られる。
若浜新鉱床は元山鉱床の東方約1.5kmにあり、道路端に坑口が有る。
元山鉱床
露頭付近から開発され、大切坑、南抗、暁抗、北抗などが開発されている。露頭から最下底の暁抗までは垂直距離にして約20メートルである。
𨫤の幅は一般に0.8~1.5メートルであるが最大3.0メートルに達する。現在認められている鉱床の規模は走向延長約60~70メートル、傾斜延長40メートル。𨫤幅0.8~1.5メートルである。
鉱石の種類と品位
本鉱山から算出する鉱石のほとんどは炭マンであるが、鉱山では品位により1等、2等、3等鉱に分類している。
1等鉱はチョコレート鉱と栗色炭マンからなる鉱石で、最高品位の物である。品位はMn45~47%。
2等鉱は縞状炭マン・褐色~灰褐色炭マンからなる鉱石で、本鉱山の主要鉱石である。品位はMn35~38%。
3等鉱は灰色炭マンおよび低品質酸化マンガン鉱からなる鉱石である。品位はMn20~32%。
鉱量および鉱山の将来性
本鉱山は昭和31年から38年まで約8年にわたって月産約100トンの出鉱を維持してきたと言われる。したがって現在までに約1万5千トン~1万6千トンを採掘したことになる。
目下、暁抗奥の探鉱と新鉱体の発見が本鉱床の開発のカギということが出来る。

日野沢鉱山探索

さて日野沢鉱山の探索です。
日野沢鉱山の探索では、事前にコメントとメールでやり取りさせていただいている「きなこ様」と「ろばあと様」から鉱山の位置を教えて頂いていたので、それを元に鉱山跡へと向かいます。
事前に場所が分かっていると自分で探索する手間が省けるのでとても助かります。

日野沢鉱山には日野沢川を渡って向かいます。
近くに橋らしきものは有るのですが、ほぼ崩壊状態でとても渡れたものではないので、川に降りて石の上を渡って対岸へ。

対岸につくとコンクリートでできた祠があり、いくつかの石像が祀られています。
祀られている石像に対し、コンクリートでできた祠はやけに新しくしっかりしていますね。

沢を登るとコンクリート桝が。
日野沢鉱山の遺構跡なのか、それとも沢水を使用した水道施設跡でしょうか。

さらに沢を進むと鉱山の遺物と見られる、金属パイプのジョイントが出てきます。

 

その先には早速大規模なズリ石の斜面が見られます。

 

ズリ石の様子はこんな感じ。
この黒い石からマンガン鉱山である日野沢鉱山のズリ石であることは間違いなさそうです。

ズリ石が有るということはその上部に坑口が有るはず。
その坑口を目指してズリ石の斜面を登ります。

ズリ石の斜面には鉱山の物と思われるワイヤーが埋まっていたり

通気用と思われるビニール製のダクトも落ちています。

ズリ石の斜面を登りきると坑口発見!

坑口のの有った岩場には上部にもいくつかの坑口が見られます。

分かりにくいですが、上を見上げると幾つかの坑口が開いています。

上に見える抗次も気になりますが、まずは目の前の坑口から探索してみます。
この日は結構暑かったのでここに来るまで既に汗だくですが、坑口からは冷たい風が吹き出しているので心地よいです。

坑口前で体を冷やしつつ準備をしたらいざ坑道内へ。

坑口付近からライトで照らすと、それなりに奥まで続いている様子が見られます。

日野沢鉱山の坑道内は乾燥しており、カマドウマやゲジなども居ないので快適です。

少し進むと最初の分岐。
まっすぐに進むメイン坑道と、左手に分かれるサブ坑道。

左側の坑道は狭くて直ぐに行き止まりでした。

メイン坑道に戻って少し進むと、また左に分岐しています。

左手の方はというと、垂直に掘られており、上の階層へと繋がっている様子。
昔は梯子でもかけてあって、人が上り下りしていたのでしょうか。

真ん丸に掘られた穴が目玉みたいでちょっと怖いですね。
1段上の場所に金属棒が埋まっているので、ロープをかければ上に登れそうな感じはありました。

メイン坑道に戻って先を進みます。

少し進むと上部が大きく掘られホール状に。
左側には傾斜の坂があり、ホールへと登る事が出来ます。

ホールは全方向に広く掘られており、所々岩盤の崩落を抑えるための残柱も残されています。

坑道内の残柱良いですね。

このホールは狸掘りでさらに奥に掘られている場所があったり

 

さらに上の階層と思われる場所から、土砂が流れ込んでいる所も見られました。

ホールエリアから下って再びメイン坑道へ。
ホールの先には再び左に分岐があります。

今度の分岐は奥まで続いている様子。

坑道の脇には錆びでボロボロになった一斗缶が落ちています。

坑道は続いていると思ったのですが、少し行った場所で上から落ちてきたと思われる土砂により閉塞。
ここも元は先ほどのホールと繋がっていたのかもです。

メイン坑道に戻って先へ。
このメイン坑道もいよいよ終点の様子。

一番奥は斜め上に続いているようです。

一番奥の壁面を見上げると

再び真ん丸の採掘跡。
ここもさらに上層に繋がっているようなので、昔は人道として使われていたのかもです。

日野沢鉱山の坑道内にも何匹かの蝙蝠が見られました。

 

坑道の上層には行けませんでしたが、行けるところは一通り回ったので、坑口に戻ります。

今回探索した坑道の内部を動画でも撮影したので、興味のある方はどうぞ。

 

最初の坑道を探索したので、当時の鉱山道を思われる踏み跡を利用し、上部の坑口も探索に向かいます。

斜面を登って一つ上のレベルの坑口エリアに到達。

ここには幾つかの坑口があるので、まずは手前の坑口から探索です。

こちらは入って右手側が水平に掘られています。

左側は斜め下にと掘られています。

最下部は水が溜まってプチ地底湖状態。

奥から坑口付近を振り返った様子。

この坑道の天井付近は地表近くまで掘られており、表に生えていると思われる木の根に浸食されている所も。

よく見ると崩れて穴が開いています。
このまま木が成長して根が太くなると、この坑道も崩落してしまうかもですね。

 

お次は奥に有った坑口へと進みます。

ここはある程度奥まで続いていそうな感じです。

坑口の左側はこんな感じに軽く掘り込まれています。

そして右側は坑道となって奥に続いています。

進んでみましたが、この坑道は見える範囲で行き止まり。
この坑道の主なのか中には一匹の蝙蝠がぶら下がっていました。

坑道奥から坑口付近を振り返った様子。

 

お次はこちらの坑口を探索。

ここは坑口付近に枯葉が積もっており、足が沈むので歩きにくいです。

坑道の中には金属のパイプなどの遺構が残っています。

坑道の側面には金属の杭が等間隔で何本も刺さっています。
もしかしたらここに電気の配線か何かを這わせていたのかもです。

奥はこんな感じ。

ちなみにこの奥ももっと続いていそうなのですが、なぜか行きそびれていたり。
写真も残っていないので、何らかの理由で奥に入らず戻ったようです。

鉱山時代の遺構が色々と残っているので、ここが本坑っぽい気もするのですが・・・。
次回訪れる事が有ったらリベンジしなくてはです。

そしてこの坑道付近の岩盤には杭などが色々と刺さっています。

 

こちらは掘削用のロッドと思われる金属棒。
記念に一本貰っていこうと思いましたが、岩盤にガッチリと打ち込んで有り、手ではびくともしませんでした。

さてこの斜面で見える範囲を探索し終えたので、急な崖を下ります。

上部の坑道へ斜面を登るのは何とかなりましたが、下りが危険だったのでザイルを使用。
ちょっとした斜面でもザイルが無いと危険ですね。

 

坑口がまとまっている最初のエリアを後にして、今度は沢底までおりて沢沿いに登ってみます。
少し歩くと怪しい穴らしきものを発見。

隙間から覗き込むと空洞があります。

ほぼ埋まりかけてるのでこれが精いっぱいですが、どうやら埋没した坑道の様子。
一番沢底にあったので、『埼玉県地下資源報告書』の記載から行くとこの坑道は暁抗の可能性が高そうです。

 

暁抗らしき坑口を後にして沢沿いを進むと、大規模なズリ石エリアが出てきます。
これは上部に坑口が有りますね!
ということでズリ石斜面を登っていきます。

斜面を登りきると、水平に幾つかの穴が開いています。

近寄ると坑口の様です。

中はこんな感じ。

ここは水平にマンガンの鉱脈が走っていたようで、奥行きが2~3メートル程度で横に向かって掘られています。

 

ここは鉱脈が下に向かっていたようで、下側にも採掘された跡が残っています。

下側も露天掘りの様な形で掘られています。

このエリアは坑口が南側を向いているので南抗の可能性が高そう。
南抗エリアも一通り探索し、これ以上坑口が見つからなかったので戻ります。

降りるときもズリ石の斜面を下っていきます。

登るときには気が付きませんでしたが、ズリ石斜面にもいくつかの石垣が有りました。

 

これで日野沢鉱山の元山鉱床の探索終了です。
埼玉県内でも最大規模のマンガン鉱山ということも有って、いくつもの坑口や遺構が残されていました。
お次は少し離れた位置にあるらしい試掘抗跡と、この日野沢鉱山元山鉱床と一体的に採掘が行われていた日野沢鉱山若浜鉱床を探しに向かいます。

皆野町の日野沢鉱山若浜鉱床
探索日:2022年4月30日 日野沢鉱山元山鉱床(本坑)探索後は、元山鉱床の近くに有ったとされる、日野沢鉱山若浜鉱床を探しに向かいます。 日野沢鉱山若浜鉱床とは 日野沢鉱山若浜鉱床は埼玉県皆野町の日野沢地区に位置したマンガ...

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