探索日:2021年11月20日
この日は群馬県のみなかみ町方面の鉱山探索に向かいました。まずは群馬県はみなかみ町にある天沼鉱山探索からスタートです。
天沼鉱山とは
天沼鉱山とは群馬県みなかみ町の奈女沢付近にある金鉱山です。日本地方鉱床誌には以下の記載が有ります。
また、政治家の高橋是清が出資をして鉱山の開発にも携わったと言われています
天沼鉱山探索
天沼鉱山の探索ですが、当日はJR上越線の上牧駅からスタートです。
上牧駅から県道61号線を北に向かい、とある林道から山に入ります。このエリアは熊の出没が多く、過去に熊に襲われた事件も有ったとの事で、熊鈴プラス時折大きな音を立てながら歩いていきます。
道の方は舗装された林道が有るのですが、人も車も殆ど入っていないようで、落ち葉や倒木に埋もれていたり、場所によっては沢の増水によって路面が流されている場所も有ります。
そんな林道沿いをしばらく歩いていくと、左手に石垣や構造物の跡が出てきます。
どうやらここが天沼鉱山の鉱山施設跡の様です。
これは貯水施設か鉱石の貯蔵施設でしょうか。
少し上部に進むと鉱石を砕く破砕機と見られる機会の残骸が。
この破砕機は栃木県宇都宮市の谷村鑄造所なる企業が作った様子。ただ現在は谷村鑄造所は存在していないようです。
破砕機の上部にもまだまだ石垣か建物の土台と思われる石組が残っています。
少し外れには天沼鉱山の山神様と思われる祠もあります。
そして少し外れに行くと平場があり、その先には坑口が有ります。
その平場の落ち葉をどかすと、鉱山から運び出されたと思われる鉱石がゴロゴロ。ものによってはザラメ水晶が沢山ついてる石も有ります。
探索後に知ったのですが、これらのザラメ水晶には金が付いている可能性が有るらしいです。先に知っていれば1つぐらい金を見つけて行こうと思っていましたが残念。金探しは次回探索に来ることが有ったら挑戦したいと思います。
そして坑道が有ったので探索。坑口から覗いてみたところ奥は深い様子です。
装備を整えて坑道の中に進んでみます。坑口付近は若干水が溜まっていましたが、奥は坑道の脇に水を流すための水路が掘られており、水も溜まっておらず歩きやすいです。
途中には幾つかの分岐が有りますが、とりあえずメインと思われる坑道をまっすぐ進みます。
坑道には枕木と思われる丸太も敷かれており、過去には軌道も引かれていた様子です。
途中で坑口付近を振り返り。最初の100メートルぐらいは直線なので、光は届かないものの振り返れば坑口が見えるため、気持ち的に少し安心。
さらに奥へと進んでみます。
ぬかるんだ地面にはいくつもの足跡が残されているので、それなりに人は出入りしている様子。この時は熊らしき足跡も無いので一安心です。
分岐した先には支保工を組んで、上部を掘っている部分も有ったりします。
何個目かの十字路。この鉱山幾つかの分岐と十字路が有りますが、右側はほとんど掘られていなかったり、埋め戻されておりで、鉱脈は続いていなかった様子。基本的に直線のメイン坑道と左側に幾つかの坑道が分岐しています。そしてこの分岐からメインの坑道が左側に折れ始め、入り口の坑口も見えなくなってしまいます。
さらに進むと十字路が出てきます。
左側は掘っていないのか、埋め戻されたかで坑道は続いておらず。
正面の坑道はさらに続いていますが、手前に山のようになった蝙蝠の糞が異臭を放っております。奥を眺めると似たような蝙蝠の糞の山がいくつか見えたので、気分的にこれ以上奥に行くのは嫌なので戻ることに。
そんな天沼鉱山の坑道探索の様子の動画はこちらから。
坑口まで無事に戻ってきたので、坑道から脱出。次は沢を登って、さらに上流域に有るらしい坑道を目指します。
沢の方は最初は水が流れていましたが、ある程度登ると枯沢になります。
登ってる途中ではかなり年代物のヘルメットが。鉱山時代のものでしょうか。
沢の中にもよく見るとザラメ状の水晶をまとった石がゴロゴロしています。ここでも探せば金が出るのでしょうか。
そんなこんなで、最初の坑道から20~30分ほど登るとかなり大きな坑口が開いている場所に到達。これは「後澤2号抗」なる坑道との事。とりあえず坑口に来ましたが、さらに上部にも坑口が有るらしいのでここは後回しにします。
こちらが上部側の坑口。先ほどの坑口から沢を挟んで対岸に位置しています。ここは「後澤4号抗」と呼ばれるらしいです。
ここは鉱脈が斜めに走っていたようで、坑口も斜めで縦長になっています。
坑道の中の様子。中も縦に広く掘られており、埋まっているようですが、下部にも坑道が有る様子。
奥はこのようになっています。後日Youtubeでこの坑道に入っている動画を発見したので見ていたら、この斜面の奥はかなりの深さの竪坑か斜坑になっているようです。訪れたときはそんなに深い場所だと思わず、この場所で引き返してしまったので全く気が付かず。次回訪れる事が有ったら確認したいと思います。
坑道の天井付近の様子。良い鉱脈が有ったのかかなり高い場所まで掘られています。
坑道の中から坑口方面を見た様子。
「後澤4号抗」探索後は「後澤2抗」の坑口に戻ります。手前の丸太に置いた30リットルのザックと比べると、坑口の大きさが良くわかります。
坑口の入り口はこのような感じで、上部と下部に分かれています。
まずは下部側。手前に土砂が有るためか、中は水没しています。
続いて上部側。1メートルちょっとの段差があるので、登るのに少し苦労しますが何とか入り込みます。
比較的最近まで作業をしていたのか、塩ビパイプがいくつか落ちています。
坑道の中はこのような感じ。
入ってすぐ左側に広いスペースがあり、そこには当時のものと思われるヘルメットやボロボロになった木材が落ちています。
その反対側は4~5メートルぐらいの竪坑が有り、中は水没しています。塩ビパイプが繋がっているから、当時はポンプで水をくみ上げていたのでしょうか。もしかしたら坑口に有った水没していた下部の坑道と繋がっている可能性もありそうです。
水没竪坑に落ちないように気を付けて進むと、その先の坑道は土砂が崩れている様子が。
近寄ってみると鉱脈なのか、人為的に掘り込んでいる様子が見られます。天沼鉱山の金は粘土にも含まれているらしいことをネットで見たことが有るので、そのために掘ったのでしょうか。
崩れた粘土エリアを越えると、その先は土砂が積まれています。
土
砂の先も坑道は続いているようですが、あの土砂の狭い隙間を抜けるのは怖いのでここで引き返します。
坑道からの坑口方面の様子。鉱脈が斜めに走っていたようで、坑道も若干曲がっています。
そんな後沢2号抗の探索の様子はこちら。
坑道を出てからは付近の探索。坑口のすぐ下流側がズリエリアになっている様子。落ち葉で分かりにくいのですが、この斜面が坑道から運び出されたと思われる石がゴロゴロしています。
ズリの斜面を登ってみると上部が平場になっており、鉱山稼働時は何らかの作業エリアだったのだと思います。
探索後は帰る前にちょっとだけ石探し。沢にいかにもな石が落ちていたので拾ってみます。
よく見ると小さいながらもいくつかの水晶があるので、これを割って水晶をお土産にお持ち帰り。ここの石はめちゃくちゃ固く、割るのが大変でした。
それと沢を歩いていて拾った、紫色の入ったチャートのような石。写真だとわかりにくいですが、実物はもっと紫色が濃いです。天沼鉱山ではコモンオパールも取れるそうなので、コモンオパールになりそこなった石でしょうか?
鉱山探索も一通り終わったので沢を下ります。来るときは沢を歩いてきたので気が付きませんでしたが、よく見ると斜面に当時の作業道らしき痕跡が残っています。ただ現在は崩れていたり落ち葉で埋まっていたりなので、沢を歩いたほうが早そうです。
帰り際に山の中腹に謎の穴を発見。鉱山エリアからは大分離れてはいますが、坑道でしょうか?斜面を登って確認してみる事に。
近寄ってみるとただの窪み。ただ左側に何かの鉱脈の様な物が走っているので、試掘跡の可能性もありそうです。
最後になりますが天沼鉱山のある沢では現在砂防ダムの建設が行われていました。この日も工事中ではありましたが、林道は通れたので邪魔にならないように道の脇を通りました。
群馬県のホームページに有った工事の資料がこちら。令和6年度までの間に、砂防ダムを3基作るようで、沢の入り口、天沼鉱山へ向かう途中と、鉱山跡地にすぐ上部に建設予定の様です。今後の工事状況によっては天沼鉱山へ行くのは難しくなるかもですね。
天沼鉱山を後にして駅に向かう途中に見かけた「釈迦の霊泉」なる場所の看板。薬事法的にまずいのでは・・・と思いましたが「末期癌・糖尿病他」としか書かれておらず、効果が有るとは書いてないのが上手いですね。
天沼鉱山の探索が終了したので、上牧駅まで戻り電車で一駅先の後閑駅まで移動し、師鉱山(もろこうざん)を目指します。
コメント
天沼鉱山には今の「後沢鉱床」だけでなく「信玄鉱床」もあるのでぜひ行かれてみてはいかがでしょうか。
参考サイト https://geolog.mydns.jp/www.geocities.co.jp/omorigold/A13_6.html#38
高瀬様
コメントありがとうございます。
天沼鉱山には信玄鉱床も有るのですね。
情報ありがとうございます。
場所を調べてみて、今度行ってみようと思います。