桐生市の梅田鉱山(津久原鉱山)探索

桐生市

探索日:2021年11月6日

高仁田鍾乳洞(蛇留淵洞)の探索後は、梅田鉱山(津久原鉱山)を目指します。

桐生市の高仁田鍾乳洞(蛇留淵洞)探索
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梅田鉱山(津久原鉱山)とは

梅田鉱山(津久原鉱山)とは群馬県桐生市梅田にある鉱山です。タングステンを採掘していたと言われている鉱山で、マンガン鉱山が多い桐生市の中でも珍しい鉱山でもあります。
新鉱物の群馬石桐生石はこの梅田鉱山(津久原鉱山)付近で発見されました。

今回訪れた鉱山跡は梅田鉱山や津久原鉱山と呼ばれているようですが、資料によって記載がバラバラ。なので同じ鉱山なのか別の鉱山なのか確信を得る事はできませんが、今回の記事では「梅田鉱山」と「津久原鉱山」の両方の表記で記載します。

本鉱山の資料としては産総研の20万分の1地質図宇都宮においてWの記号でタングステン鉱山であることが記載されています。

日本地方鉱床誌においては津久原鉱山として以下の記載があります。

津久原鉱山
栃木県安蘇郡田沼町津久原にあり、桐生駅の東北約17kmに位置する。鉱床は古生層のチャート中の脈状鉱床で、主な物が3条あり、走向N20゜W、80゜NE、脈幅は0.1~0.6メートル、鉱石は主として黄銅鉱、黄鉄鉱、石英である。

日本地方鉱床誌では場所が栃木県安蘇郡田沼町津久原と有りますが、この地域は昭和43年に群馬県桐生市に編入しており、現在の桐生市梅田町5丁目に位置しています。また、「鉱石は主として黄銅鉱、黄鉄鉱、石英」と有るので、時代によって採掘していた鉱物が違っているのかもです。

日本鉱産誌においては津久原鉱山の以下の記載があります。

津久原鉱山
栃木県安蘇郡飛駒村にあり、桐生駅の東北約17kmの津久原集落の東方0.5km。古生代の粘板岩・チャート・石英粗面岩からなる。チャート中の脈状鉱床で主鉱床3。走向N20゜W、80゜NE、脈幅は0.1~0.6メートル。鉱石は黄銅鉱・黄鉄鉱・石英。1号鉱:Cu6~20%。Ag7~40g/t。2~3号鉱Cu1%、Ag200g/t。
日本鉱産誌では銅の他に銀を採掘していたほか、坑道が3本有ったとの記載が有ります。

 

また、日本鉱産誌と日本のマンガン鉱床では別途「梅田鉱山」としてマンガン鉱山の記載が有る事から、これとは別に「梅田鉱山」の名前を持つ鉱山が存在する可能性もあります。

梅田鉱山(津久原鉱山)探索

高仁田鍾乳洞の探索後は桐生川に沿ってさかのぼり、梅田鉱山(津久原鉱山)へと向かいます。桐生川もこの辺りまで来ると水も綺麗で、淵を覗き込むと時折イワナかヤマメだかの渓流魚が見える事も有ります。

 

桐生川沿いの道を歩いていると、軽トラが突っ込んで崩壊したかのような廃墟も見られます。

 

さらに進むとネットで見かける鉱山入り口の目印となる例の赤い橋。

細い橋なので渡れるのか不安になりゆっくりと進みましたが、鉄骨でしっかり作られているようです。乗ってみると思った以上にしっかりした橋で安心。

 

赤い橋を渡ってからはとりあえず沢沿いに進んでみます。今回は気が付かなかったのですが、沢の上部に林業用と思われる作業道があるので、そちらを行った方がずっと楽です。

沢にはそれなりに立派な滝も出てきます。

滝を斜面で巻いてさらに上流部へと進みます。

沢沿いの岩肌には試掘と思われる場所もチラホラ見られます。

さらに先に進みますが、沢沿いに行くのが難しくなったため無理やり斜面を上部へと登ります。斜面を少し登ると先にも書いた林業の作業道に合流したので、今度はそちらを歩いていきます。

作業道沿いの斜面にも何かの脈に沿って掘られた跡が有ります。これはどうやら石英脈の様子で、石マニアが掘った感じです。

作業道沿いに進むと下部の沢に坑口らしき穴が見られます。沢からせっかく登ってきたところなので、今はスルーして帰りに確認してみます。

さらに進むと土砂崩れで作業道は崩壊。通れそうな場所を見つけて乗り越えます。

 

崩落地点付近から左を眺めると、坑口の様な物がいくつか見えます。どうやら目指す梅田鉱山の様です。

 そして梅田鉱山と思われる坑口に到着です。

 手前側の坑口。こちらは奥が見えないのである程度深い様子。

もう一方の採掘跡。こちらは少ししか掘っておらず。

 

深い方の坑道内はこんな感じ。深さは20メートルぐらいでしょうか。

最深部付近。

坑道内から坑口方面を振り返ります。

画像だとわかりにくいのですが、坑道内の天井付近には幅20センチから30センチ程度の鉱脈がまっすぐに走っており、これを採掘していたようです。

鉱脈の様子。場所によっては石英を伴っている所も。

 

坑道内探索後は外の様子も探索。

坑道の外側の露頭にも石英と思われる脈が見られますが、めぼしい所は掘り込まれています。

石英脈の有る場所の下部はこんな感じでちょっとしたズリエリア。

ですがここには石英の破片がゴロゴロしています。

とりあえず足元の石の中から、ある程度形の整っている水晶を拾ってみます。

15分ぐらい拾うとこんな感じ。水晶らしい水晶は数個しかありませんが、とりあえず見た目がきれいな物を拾っておきます。

 

お土産の水晶を拾った後は、下部にある坑口も覗いてみます。

こちらは崩れた土砂で坑口付近が埋まっており中は水没の様子。とりあえず水の中に落ちないように坑口を覗き込んでみます。

水没坑道の中はこんな感じ。先に入った上部の坑道よりも奥に続いているみたいで、こちらは梅田鉱山の本坑と思われます。

水没の奥には支保工と思われる柱があり、その先も坑道が曲がって奥に続いている様子です。

水没エリアの手前は泥が層状に積もって、リムストーンのようにもなっています。

トレッキングシューズなので水没坑道には入れず今回は坑口から覗くだけに。

 

これで梅田鉱山の坑口周辺を探索したので戻ることに。帰り際には最初に見つけた沢底にある穴を見に行きます。

斜面を慎重に降りて沢に到達。坑口と思われる穴に近づきます。

しかし試掘だったようで、残念ながら1メートル程度しか掘られておらず。

 

そんなわけで梅田鉱山(津久原鉱山)探索後は、もう1か所の鉱山跡を探しに行きます。場所は少し離れており、一つ山を越える感じになります。

そのエリアに向かうと思われる林道を歩いていると、いい感じの廃墟があります。

 

さらに進むと舗装された林道は終了しており、ここからは林業の作業道と思われる道を進みます。

この道、国土地理院の地図では破線として記載されているのですが、実際にはこんな感じで道としては機能しておらず。時間も夕方近くになっており、こんな藪道を進んで山一つ越えるのは危険なので今回は断念することに。

帰宅途中には緊縛された?ビーナス像が置いて有ったり。

 

今回の梅田鉱山(津久原鉱山)で拾った石英や水晶の破片。数日間酸に漬けてみましたが、あまりきれいにはならず。

 

辛うじて水晶っぽいのは数本だけ。

鉱山から少し離れた山の中には石英を伴った大理石と思われる石も落ちていました。

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