探索日:2023年4月23日
この日は秩父市は浦山地区にある日平鉱山の探索に向かいました。
日平鉱山とは
日平鉱山とは秩父市の浦山地区にあったとされるマンガン鉱山です。
日平鉱山の名称は「にちひら」なのか「ひびら」のどちらかと思っていたのですが、日本鉱産誌には「ひだいら」とふり仮名が振ってあったのを発見。どうやらこの鉱山の名称は「ひだいら鉱山」の様です。
ちなみに、宮崎県延岡市には同じ日平鉱山の名称で「ひびらこうざん」が有るみたいですね。
この日平鉱山ですが、秩父市は浦山地区の字(あざ)日向に有ると手持ちの資料である『埼玉県下に於けるマンガン鉱予備調査報告書』に記載が有ります。ただこれだけでは広大な浦山地区から鉱山の位置を特定するのは難しいです。
そんな中、とある登山雑誌の記事「浦山水系誌」日平鉱山の事が書かれているのを発見します。
この記事を図書館の印刷サービスで取り寄せてみたところ、浦山地区のとある沢の紹介として「奥には日平鉱山というフェロマンガン鉱山がある」と記載が有ります。
そこでさらにその沢を特定し、日平鉱山のおおよその位置の目星を付けての探索になります。
ちなみに浦山地区には斎藤鉱山なる鉱山が、柿原山、冠山、広河原、大神、横倉、毛附など10ヶ所以上のマンガン鉱区を持っていたようで、いずれはそれらの鉱山の場所も特定して探索したいと思います。
日平鉱山探索
さて日平鉱山の探索です。
まずは秩父鉄道の浦山駅からスタート。
浦山沿いを進み浦山ダムへ。
折角なので浦山ダムを見物。
ダムサイトを歩いたり、エレベータでダムの下部へ向かったり、ダム資料館を軽く見物します。
ダムを後にして再び歩き、日向地区から山の方へと向かいます。
そしてここが目的の日平鉱山の有る沢です。
沢沿いには作業道らしき道が有るので、ここを利用します。
山奥なのに随分としっかりした道だと思ったら、水道の設備が有るようです。これのメンテナンス用も兼ねているようです。
道なりに歩くと広場が出て来て水道関連と思われる施設が出てきます。
その先には何やら策で囲われたエリアが。
なにやら水も染み出ているので、まさか竪坑か何かを囲っているのかと思い近寄ってみます。
近寄るとこんな感じ。
どうやらわさびを栽培しているエリア。
竪坑に人が落下しないように囲ってあるのかと思ったのですが・・・残念。
水道設備を越えてからはしっかりした道も無くなり、沢沿いを遡上していきます。
沢沿いには所々に石垣があり、古くから人が入っている形跡が有ります。
そしてマンガンのズリらしき石も落ちています。
これはこの先にマンガン鉱山が有った証拠になるので、テンションが高まります。
さらに沢を歩くと水道用に使われていたと思われるふろおけが出て来たり。
山ではおなじみの炭焼き窯跡。
そしてまた出てくる謎の石積み。
沢沿いに点々と石積みが出てきます。
そんな石積みエリアを越えて沢を登っていきます。
この辺りだと道らしきものは全くないので、ひたすら岩がゴロゴロした枯沢を歩いていくことになります。
さらに先へと登っていくとこんな感じに。
いつの間にか岩の質も変わり、いつの間にか所々に有ったマンガンのズリ石らしき黒い石も見られなくなります。
これ以上先にはマンガン鉱山がなさそうなので、いったん戻って仕切り直し。
一度マンガン鉱石らしき黒い石が落ちている場所まで戻ります。
そこから今度はマンガン鉱石らしき黒い石を追って歩いていくと、尾根の下に何やらトタンが落ちているエリアが。
ここには昔何かの小屋が有ったようです。
問題のマンガンのズリ石はというと、この斜面に上部から転がり落ちてきています。
そこで今度は沢から外れてこの斜面を登ってみます。
予想通り斜面上にはマンガンズリが多数落ちています。
斜面上には再び石積みも出てきます。
そんな斜面を登っていくと、こんな崖の部分が出てきます。
この崖の下部まではマンガンズリが落ちているのですが、この崖から先には再びマンガンズリが見られなくなります。
岩の質からもここが採掘跡という感じでは無さそうなのですが不思議です。
落ち葉のしたに坑口が埋まってるのかと、所々に棒を指してみますが穴らしきものは有りません。
ただこの場所は怪しいので少し周囲を観察。
するとこの場所が平場になっていることや、周囲の木にワイヤーが巻かれた跡の様な物を発見。
もしかしたらこの付近には索道があり、採掘場所からこの尾根上に鉱石を運び上げていたのではとの仮説生まれます。
ワイヤーなどは落ちていなかったので実際に索道が有ったかは不明ですが、索道が引かれていたらを仮定してその先に進んでみます。
尾根を越えていくと人為的に削られたような穴しい場所が出てきました。
そしてそこにはマンガンズリらしき石がゴロゴロ。
どうやら採掘エリアはこの近くの様です。
少し先に進むと崖際に坑口発見!
ここがどうやら目指していた日平鉱山の様です。
坑口では用意を整え早速坑道内へと進んでみます。
手前は下部に掘られており、足元には落ち葉が堆積。
足を滑らせないように奥に進みます。
入り口付近は狭いですが、奥は広く掘られているようです。
中に進んでみると坑道内はこんな感じ。
ここ日平鉱山ではマンガン鉱脈がほぼ水平に存在していたようで、横に採掘が行われています。
残柱(竜頭)も幾つか残されています。
残柱、下部が細く頼りないですね。
こちらは丸太と材木でで支えられているかのような残柱。
残柱の下部を柱で支えているのかと思って反対側に回り込んだら、裏側はしっかり柱が下まで残されていました。
こちらは丸太で岩盤が支えられています。
隙間にしっかり木材を打ち込んで有りますが、この程度の丸太でどれだけの重さの岩盤を支えられるのでしょうかね?
奥の方も坑道らしきものが繋がっているようなので進んでみます。
所が奥は少し掘られただけでおしまい。
こちらは奥から岩石が流れ込んでいます。
岩の質が違うから、表に繋がってしまってそこの土砂が流れ込んだのでしょうか。
この土砂が流れ込んでる穴、方向的に先ほど索道の跡らしきものが残った木の方向なので、もしかしたらその平場に繋がっていたのかもしれません。
壁面のマンガン鉱脈の様子はこんな感じ。
その他の坑道内の様子は以下の画像から。
この日平鉱山の坑道内の様子は以下の動画からもどうぞ。
さて一通り坑道内を眺めたので、坑口方面へ戻ります。
坑口付近の様子。
だいぶ落ち葉がなだれ込んでいます。
そして脱出。
坑口周辺の様子。
坑口下部はかなりの急斜面。
こちらから上がってきてたら、坑口にはたどり着けなかったですね。
帰りは尾根を利用して一気に下ります。
帰りはあっという間に下山し、作業道に合流。
無事に日平鉱山探索を終了。
お次は大神楽付近に有るらしい鉱山跡を目指します。

コメント