みなかみ町の師鉱山探索

みなかみ町

探索日:2021年11月20日

みなかみ町の金鉱山である天沼鉱山探索後は、同じくみなかみ町の師鉱山(もろこうざん)の探索へと向かいます。

みなかみ町の天沼鉱山探索
探索日:2021年11月20日 この日は群馬県のみなかみ町方面の鉱山探索に向かいました。まずは群馬県はみなかみ町にある天沼鉱山探索からスタートです。 天沼鉱山とは 天沼鉱山とは群馬県みなかみ町の奈女沢付近にある金鉱山です。...

 

師鉱山(もろこうざん)とは

師鉱山とは現在のみなかみ町の師地区に位置していた鉱山で、古くは江戸時代ごろから金を採掘し、近代になってからは主に銅を採掘していた鉱山です。現在は閉山しています。古くはこの地域が古馬牧村だったことから、古馬牧鉱山と呼ばれていたことも有るようです。

この鉱山に関して日本鉱産誌には以下の記載が有ります。

師鉱山(古馬牧鉱山)
群馬県利根郡月夜野町(旧古馬牧村)。上越線後閑駅の東方3キロ。
第三期凝灰岩、安山岩からなる、含金石英脈で細脈多数。走向N50°~70°E、傾斜20~50°NW。黄銅鉱、黄鉄鉱、石英。Cu1.9%、Au65g/t、Ag74g/t。
1955年時点で探鉱中。1953年の時点で1月辺り2トンの銅もしくは銅2%を含む鉱石を産出していた。

別の資料である日本地方鉱床誌には以下の記載が有ります。

師鉱山(旧古馬牧鉱山)
群馬県利根郡月夜野町にあり、戸神鉱山の西南に隣する。鉱床は後閑層の凝灰岩、安山岩中の含金石英脈で多数の細脈よりなる。一般走向N50°~70°E、傾斜20~50°NW。石英は主に黄銅鉱、黄鉄鉱、石英よりなり金を含む、粗鉱品位は金64g/ton、銀74g/ton、銅1.9%。1953年には2ton/月の粗鉱を産出した。

 

師鉱山(もろこうざん)探索

師鉱山探索はJR上越線の後閑駅からスタートです。

まずは三峰山方面を目指します。秋のちょうどよい時期なので、山の木々も紅葉しており綺麗です。

そして目指す師鉱山があると思われる山がこちら。

 

山の南側の麓まで来たら、事前に調べておいた鉱山に続くと思われる道に入ります。道に入ると山の斜面側はいかにも鉱山道といった感じの石積みが見られます。

 

沢沿いにも石積みが有りますが、こちらは鉱山というよりは畑の跡地の可能性が高そう。

予想通り、少し行くと元々は何かの畑だったと思われる平場が出てきます。

 

畑らしい跡地を越えると道が無くなり、いきなり急な斜面が。ここだけ土砂が盛られているような感じで不自然。もしかしたらこれはズリ跡では・・・?と思いつつ斜面を登ります。

 

そんな怪しい斜面を登りきると今度は畑ではない平場が出てきます。

こちらはズリ捨て場だったと思われる平場。所々土砂が盛られている様子が分かります。(画像左の黒いのは私のザックです)

 

この平場の足元には石英を含む、鉱石のような石がゴロゴロしています。

 

そして平場の先に有る岩肌には怪しい窪みが。

 

近寄ってみると坑口と思われる人為的な穴。ただ残念ながら崩落か埋め戻されたのかで穴は続いておらず。

 

周囲には意図的に崩されたような場所が有ったり

 

採掘跡のような穴が有ったり

 

不自然に陥没したような場所が何か所もあります。

 

平場の部分から斜面を登って、山の上部へと向かってみます。

 

山の斜面には鉱脈に沿って掘ったとみられる採掘跡がいくつも口を開けているので、足元に気を付けて歩かないと危ないです。不自然に窪んている場所にも近づかないように注意して進みます。

 

所々深さ2メートルぐらいある穴も口を開けているので、慎重に進みます。

 

山の斜面にも石英を含む鉱石らしき石がゴロゴロしています。

 

山の斜面には所々平場が有ったり、陥没したかのように不自然に窪んだ場所がいくつも見られます。

 

山の頂上付近まで来たら西側に回り込んでみると、写真ではわかりにくいのですが人為的に掘られたか陥没したかで窪んだ場所があります。ちょうど稜線付近なので山の反対側まで繋がっていた坑道が有ったような雰囲気。

こちらは上の画像の陥没エリアのズリ捨て場と見られる場所。

 

ここも画像ではわかりにくいのですが、不自然に陥没している場所。

 

場所によっては鉱山から掘り出されたと見られるこのような石も落ちています。

 

よく見ると数ミリ程度のサイズではありますが、水晶クラスターが付いています。

 

師鉱山の南側エリアを一通り探索したので、別の斜面へと向かいます。この鉱山は西側にも坑口が有ったそうなので西側へと向かいますが、西側は畑に接しておりイノシシ除けと見られる柵があり侵入が難しそう。

 

そのまま山沿いにぐるっと回り込んで、北側斜面から入れそうな場所が有ったので進んでみます。

 

北側の斜面にも何か所かの陥没と思われる、不自然な窪みが見られます。

 

陥没した坑道なのか場所によっては穴も見られます。

 

そのまま斜面を登って稜線付近へ。

ここは先ほど登った南側斜面の稜線を挟んで反対付近。明らかに人為的な窪みがあり、露天掘りか地下の坑道が崩落した跡の様です。位置的に真正面が北側に有った陥没エリアにぶつかるので、過去には繋がっていたのかもです。

窪みエリアには小さい穴も見られたので、坑道跡が陥没した可能性が高そうです。

 

こちらは明らかに人為的に作られた平場。

 

ズリ捨て場と見られる場所もあります。

師鉱山の北側エリアも一通り探索しましたが、こちらはこれといった坑口などを見つけられず残念。

 

探索を終えて駅へ戻る途中にすぐ近くの畑で農作業を行っていた70歳ぐらいの地元の方が居たので声をかけると、以下のような師鉱山の色々なことを教えてもらえました。

  • 師鉱山の坑道は現在はほぼ埋め戻されている。
  • 師鉱山は北エリア、西エリア、南エリアで採掘していた。
  • 北エリアが一番近年(昭和30年頃)まで採掘していた。
  • この方が子供の頃は坑道に入る事ができて、坑道で遊んだことが有った。
  • 坑道内にはトロッコや線路の分岐が有った。
  • 採掘した鉱石を落とす竪坑が有った。
  • 坑道内には銅の鉱石が落ちており拾った事が有る。
  • 師鉱山は江戸時代ごろから金を採掘しており、今は没落してしまったが金の採掘で財を成した家も有った。
  • 10年ぐらい前にも師鉱山を調べに来た専門家が来たので案内した。
  • 群馬県でよく見かける石のサンポウは、三峰山の麓でサンポウ石なる石切りから始まった企業。

ちなみにお話を伺った方も石には詳しいようで、この日の午前に探索した天沼鉱山の事や、桐生方面や渡良瀬方面のマンガン鉱山についてもご存じだったので、上記の事もかなり信憑性が有ると思います。

やはりネットや書籍で調べるよりも、地元の方に聞いた方が多くの事を知ることが出来ますね。

 

そんなわけで師鉱山探索終了です。

 

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