桐生市は黒保根の昭和鉱山沢入鉱山探索

桐生市

探索日:2024年1月23日

観音沢鉱山を発見後は、某先生と一緒にこの日の本命の昭和鉱山沢入鉱床(昭和沢入鉱山)を目指します。

桐生市は黒保根の観音沢鉱山(観音崎鉱山)
探索日:2024年1月23日 この日は某先生と桐生市は黒保根地区のマンガン鉱山探索に向かいました。 目指すは旧黒保根村の昭和鉱山沢入鉱床ですが、まずは黒保根地区に行きマンガン鉱山が有ったと思われる付近を周る事に。 集合地点付近...

近い地域のみどり市には沢入「そうり」が有りますが、こちらは同じ沢入の漢字でも「さわいり」と読むそうです。
「そうり」には林間沢入鉱山もあるので、ややこしいですね。

 

さて、鉱山に向かう途中にはイボ石なる石が有ります。
こちらは放散虫の化石のノジュールが入った珍しい石との事で、桐生市の天然記念物だそうです。

 

イボ石からしばらく進んでいくと林道沿いにマンガン採掘跡を発見します。

 

中を覗き込んでいみると上からの土砂で埋まっています。

 

上から土砂が流れ込んでいるという事はこの斜面の上にも採掘跡が有るはず。

 

斜面に取り付いて登っていくと直ぐに石組を発見します。

 

その先には埋もれつつあるも穴をがあります。

 

覗き込んでみると埋まっていますが、マンガン採掘跡の様です。

 

さらにその近くにも坑口らしきものが有りますが、あまり掘っていません。

 

さらに上部にも露天掘り跡らしきものが有るのですが、下に先生を待たせているので下ります。

こちらの鉱山は昭和鉱山沢入鉱床の一部だとしたら、手持ちの資料から行くと前山坑の可能性が高そうです。
今回はちらっと確認しただけなので、また時間が取れたらさらに上部も見に行きたいと思います。

 

斜面を下って先生に採掘跡の状況などを報告していると、沢を挟んだ反対側の斜面にもズリのような怪しい場所を見つけます。

 

早速斜面を登ってみると、思った通りズリが溜まった斜面です。

 

そしてズリ斜面の脇には坑口が開いています。

 

まずはこの坑口からチェック。

 

坑口から中を覗き込むと、水が溜まっていますがかなり奥まで続いていそうな感じ。
ただ水没していては入れないので、探索は断念。

 

再度ズリ斜面の上部を目指します。
途中まで登って来ると、上部にレールらしきものが見えます。

 

足元が滑るズリ斜面に苦労しつつレールの場所まで到着。

 

レールは斜面をトラバースするように横に続いています。

 

こちらは二本そろって残っています。
どうやら坑口から搬出したズリ石を捨てるトロッコ用のレールの様です。

 

レールを追ってみると予想通り坑口に繋がっていました。

 

坑口を覗いてみると、こちらも水没しています。
ここはレールが残っている事や斜面のズリの量から、かなり掘った坑道だと思われます。

 

坑道内は確認できなかったので、今度はレールを追って反対側へと斜面を進んでみます。

 

鉱山の為とはいえ、こんな場所までよくレールを運んで敷設したものだと感心します。

 

レールの先から見たズリ捨て場の様子。
ここから下の斜面にズリ石を落としていたのですね。

 

そんなズリ捨て場の先の岩にも小規模ながら採掘跡が残っています。

 

その岩を回り込んでみると、さらにその上部にもズリが見えますね・・・。
結構上の方なのですが、見つけたからには行かねばなりません。

 

こちらも結構大きなズリ捨て場ですね。

 

ズリ斜面に足を取られ苦しみながら登っていると、こちらでもレールを見つけます。

 

レールを追って坑口へ。

 

こちらの坑口は露天掘りから掘り進んだのか、坑道内は斜め下へと掘り込まれています。

 

さらにこの上にも所々マンガンの様な黒い石が落ちているのですが、鉱山のものなのか上部を走る林道工事で出たものか分からず。
もしかしたら林道を作るときに潰されてしまった可能性も有るかもです。
ちなみにこの坑口に来るには斜面を登るより、この林道を使った方が楽そうです。

 

林道の走る尾根付近まで登ったので、今度は登ってきたルートとは違う場所を下ってみます。
すると岩場に怪しい窪みがあります。

 

近寄ってみるとマンガン採掘跡。

 

たぬき掘りのように奥に繋がっています。

 

さらにこの岩場には複数の穴が有ります。

 

こちらの穴も狸掘りで奥に掘っています。

 

今度は横に掘られた穴。

 

ここもやはり奥は狸掘りで進んでいます。

 

右側も落ち葉で埋もれていますが、奥に繋がっていますね。

今回はこの岩周りの採掘跡に入りませんでしたが、中では全部繋がっていそうな感じです。

 

そんなわけでこのエリアを一通り見終わったので、最初のズリ斜面に戻り下ります。

このエリアは比較的広範囲にマンガンの採掘が行われていたようです。
図面と照らし合わせると、光石1号坑、光石2号坑、光石3号坑のどれかが当てはまると思うのですが、昔の簡単な図面では確定できず。

 

下って休憩していると、沢沿いの斜面に何か落ちています

 

よく見るとレールですね。
この付近でも採掘していたのか、上から落ちてきたのかは分かりませんが、鉱山時代の遺物だと思われます。

 

ちょっと周囲を探索すると古そうな石組と作業道らしきものを見つけます。
このエリアの上部にもむじな坑、寺山坑などがあったそうなので、そこへ繋がる鉱山道かもしれません。
本来なら見に行きたいのですが、時間の都合も有り今回はパス。

 

さて、一度戻って怪しいこのエリアでも本命と思われる沢に入ります。
沢の前にはかなり古い砂防ダムの残骸と思われる遺構と、山神様が祀られています。

 

山神様のところにはお賽銭もあるので、今でも時折人が来ているようです。
裏には風化していたものの『寛政』と読めなくもない文字が刻まれていました。
本当に寛政だとしたら200年以上前のものという事になります。

 

 

そしてこちらは鉱山時代のものと思われる壊れた砂防ダムらしき残骸。
その奥には最近作られた新しい砂防ダムも見えます。

 

山神様と遺構を見た後は沢を登ります。
新しい砂防ダムを乗り越えようとしたら、その脇に早速坑口らしき穴。

 

近寄るとやはり坑口です。

 

覗いてみると竪坑なのか下に掘られています。

 

足元が落ち葉なので気を付けて近寄ってみます。

 

竪坑かと思ったら、少しだけ下に掘っていただけで安心。

 

ただその先は左側にカーブして続いているようです。
滑り落ちて万が一が有ったら怖いので、この坑道はここまでにして戻ります。

 

沢に戻って今度は落ち葉の堆積したナメ滝を登ります。
慎重に進みますが、落ち葉と滝の水で何度も滑りそうになります。

 

滝を登ると左斜面にズリと坑口。

 

ズリを登って坑口へ。

 

覗き込むとかなり奥まで続いていそう。
ここは水没もしていないので、まずは単独で坑道内を見に行ってみます。

 

坑道を少し進むと、上部に続く竪坑。採掘の為なのか、木が数多く渡して有ります。
この様子だとここよりも上にも坑道が有りそうですね。

 

竪坑を見てからも先に進みます。

 

少し先には左に採掘跡。
なぜか撮影し忘れていたのですが、ここは上部にも掘り込まれていてかなり天井が高くなっています。

 

下部にも掘り込んでいます。

 

この付近はマンガン鉱脈が有ったようで、何か所かに分かれて掘られていますね。

 

ここも上部が掘られており、ホール状になっています。

 

坑道は右側へと回り込んでいます。

 

ぐるっと半周程したところで行き止まり。
後ほど先生に話したら「この付近の採掘の仕方はマンガンっぽくないので、途中で金とかの脈を見つけてそちらを掘ったのかも」との事。

 

さて最奥まで確認したのでいったん坑口へ戻ります。

 

 

坑道内の様子を報告し、今度は先生と一緒に観察しに行きます。
今度は先生の解説を聞きながらじっくり見ていきます。

色々確認しながら歩いたので最初には気が付かなかった、レールを繋ぐと思われる金具や、ダイナマイト用の導火線、犬釘らしき物が落ちているのを発見。

 

途中には金属成分のつららも有ったり。

 

坑道内の様子を観察する先生。

 

奥に入ったところで当時の背負子の残骸を発見。
当時はこれに鉱石を積んで運んでいたのでしょう。

 

さらに金属部分はかなり腐食していますが、カッチャと背負子の底と思われる板も落ちています。
一人だと全く気が付かなかったのですが、先生と一緒ということも有り新な発見が多いです。

 

最後はこの坑道に1匹だけ居た蝙蝠。
ここの主ですね。

 

この坑道の様子は動画でも撮影したので、Youtubeからどうぞ。

 

お土産は坑道内に落ちていた、1センチぐらいの水晶脈の入った石。

 

水晶自体は小さいですが、所々に綺麗な結晶が見られます。

 

割ってみたらこんな感じになりました。

 

 

さて坑道探索後は沢を再び登ると、すぐに沢の両脇にズリ山が出てきます。

 

さらにズリの下部の沢底には石組も。
ズリで沢が埋まらないようにしている様です。

 

ズリ場の上は平場になっています。

 

平場には鉄製のチリトリらしきものも落ちています。

 

これだけズリが堆積していたのですが、なぜか周囲に坑道や採掘跡が見つかりません。
坑道が埋没してしまったのか、索道の様な物でズリだけ運んだのでしょうか。

 

謎のズリ山を後にしてさらに沢を登ると、古い鉄のパイプが幾つか落ちています。
これらも鉱山の遺物の可能性が高そう。

 

さらに斜面を登りますが、いつしかズリ石やマンガンを含んだ黒い石が無くなります。
上部には林道も出てきたので林道付近まで登りますが、坑口や採掘跡は見つからず下山。

 

下山して下部の林道まで戻ります。
荷物の整理をして帰る準備をしていたら、斜面に穴らしきものを見つけてしまいます。

 

肉眼では確認が難しかったので、スマホで画像を撮影してみたら明らかに坑口。
しかし今回は時間が無いのでパスすることに。あそこの確認は次回の課題ですね。

 

帰り際には今日一番の大仕事。先生が見つけた、大物バラ輝石を回収。
この大きさの岩を沢から引き揚げて、先生の車に乗せます。

 

何度か休憩しながらどうにか搭載して任務終了。
積んだ石の端にはバラ輝石のピンク色が見えますね。後で石材店に持ち込んでカットしてもらうのだとか。

 

 

そんなわけで今回探索した昭和沢入鉱山は、坑口が多数あり見どころも多く楽しめました。
今回は広い範囲の昭和沢入鉱山を軽く見て回っただけなので、機会が有ったら再度しっかりした調査に来たいです。

ちなみにこの日はとある図書館に立ち寄り、先生の力もお借りして、今回調査した昭和沢入鉱山などの資料を大量ゲットして帰宅。
資料も精査して、今後の調査につなげたいと思います。

 

 

ちなみに今回探索したのは昭和鉱山沢入鉱床の寺山坑、光石坑と思われる個所。
(資料は日本のマンガン鉱床補遺より)

 

鉱床が複数あるので、どれがどれかは分からないのですが、見る場所はまだまだありそうなので、機会を見て探索に来たいと思います。

 

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