日光市の越路鉱山探索

日光市

探索日:2021年5月23日

 

この日はさいたま市から遠征して栃木県日光市の越路鉱山へと向かいました。

栃木県と言っても日光の一番北部で、ほぼ福島県という場所に位置します。

 

 

越路鉱山とは

越路鉱山とは栃木県日光市にある横川集落から西方約2000メートル、栃木県と福島県県境の標高約800メートルにに位置している鉱山です。

 

明治・大正時代から採掘が行われていたようで、当初は銅の採掘を行っていたが、途中からは硫化鉄鉱を主に採掘をするようになった鉱山。

記録には大正年間から越路鉱山として採掘されていたが、その後は久しく休山状態となっており、昭和12年7月に朝日化学肥料株式会社(前身の尼崎肥料株式会社の事を指しているかも?)の所有となり硫化鉄の採掘を行っていた。

別の資料では昭和25年(西暦1950年)頃には尼崎肥料株式会社、昭和30年(西暦1955年)頃には朝日化学肥料株式会社によって経営されていたとある。

 

主な鉱石には黄鉄鉱、黄銅鉱、方鉛鉱、閃亜鉛鉱、石膏、重晶石などの採取が可能との事。

坑道には大切抗、松平坑、立石抗、鷹ノ羽抗(鷹羽抗)、朝日坑(旭坑)を中心に、いくつかの旧坑道や試掘抗が有るほか、露頭からの露天掘りも行っていたよう。上記の坑道と重複している可能性もあるが、延長約75メートルの第1抗、延長約80メートルの第2抗、いくつかの旧坑道や竪坑も有るが軒並み崩壊埋没しているとの事。また延長約33メートルの裏山抗も有るとの事。平松抗は資料の時点で延長約25メートルとなっている。

坑道の採掘は手掘りで行っており、ボーリング作業には石油式の発動機を用いている。選鉱は手で行っているが浮遊選鉱を行う予定であると記載もあるので、浮遊選鉱機を用いていた可能性もある。

越路鉱山の従業者は坑夫・雑夫含め20名いたとの事。

 

参考資料:「日本地方鉱床誌関東地方」「日本鉱産誌 I-b 主として金属原料となる鉱石」「地質調査総合センター 栃木縣越路鉱山における電気探鉱について」「塩原図幅地質説明書」

 

越路鉱山の場所と行き方

越路鉱山は栃木県日光市横川の山の中に位置します。

最寄りの駅は野岩鉄道の男鹿高原駅で、駅を出たら目の前の林道を山の方にひたすら向かいます。

細かい鉱山の位置はネット上に書いてしまうと色々と有るので、実際に現地に行って確認してみてください。

 

なお周囲に人家などはなく、スマホの電波も入らないので注意してください。

ツキノワグマが生息している地域だそうなので、熊鈴など音のなるものは必須です。

 

越路鉱山の探索

ここ数回の廃鉱山探索で以前使っていたトレッキングシューズのソールが剥がれかけてしまったので、今回から新しいトレッキングシューズに変更しての探索になります。

トレッキングシューズは個人的にメレルが好きなので、メレルのショップに行って購入しました。

 

さて男鹿高原へは鉄道を乗り継いて向かいます。

最寄りの駅から宇都宮線から栗橋→下今市→新藤原→男鹿高原へと何度か乗り換えます。

 

鬼怒川温泉付近では車窓からホテルの廃墟群などを眺めます。

 

新藤原駅では前者の接続が合わず45分ほど待機。

 

自宅最寄りの駅から4時間以上かけて、越路鉱山最寄りの男鹿高原駅に到着。

実は最初は男鹿高原駅を「おじかこうげん」ではなく「おがこうげん」だと思っていたり。

 

男鹿高原駅というだけあって、駅自体の標高も結構な高さ。

 

駅はこんな感じ。

降りたのは私一人だけでした。

 

男鹿高原駅は秘境駅としても人気なようで、ホームの待合室には駅ノートも有ったり。

折角なので駅ノートにもちょっと書いてみました。

 

駅の外側はいたってシンプル。

 

駅の近くには野岩鉄道の男鹿高原変電所と緊急用のヘリポートしかありません。

 

さて男鹿高原駅から離れ、越路鉱山へと向かいます。

越路鉱山へはヘリポートとは反対側の林道を進んでいきます。

 

林道脇を流れる川の石は真っ赤に染まっています。

いかにもこの上流に金属鉱山が有りますよという雰囲気で良いですね。

 

林道をしばらく歩くとちょっとした分岐があり、分岐の真ん中には林道の表記が。

ここは越路林道と言うそうです。

 

分岐からさらに林道を歩いていくと、大分さびた落石注意の看板が有ります。

 

この辺りは全体的にどこも崩れそうな雰囲気なのになぜここだけ看板が・・・?

と思って山の方を眺めると、どうも斜面が不自然。

 

手前に石が積まれており、奥に何かスペースが有るような感じです。

こんな岩の斜面ですが何か怪しいので登ってみます。

 

岩山を登ってみると、手前の石積みの奥には何やらホールが。

覗き込んでみると露天掘りの跡で、その最下部には坑道らしきものが見えます。

坑道に落ちてしまわないように上から観察だけにとどめます。

 

露天掘り跡から降りて今度は先ほどのエリアの下部に有った坑道を探します。

坑道が繋がっているであろう方向に行くと怪しい崩落跡があります。

 

崩落跡の隙間から覗き込んでみると、やっぱり坑道が有りました。

先ほどのエリアで露天掘りした鉱石を下部の坑道に落とし、ここから搬出していたのだと思います。

ちなみにこの坑口、手持ちの日本地方鉱床誌関東地方の地図には坑口として表記されていますが、名前は載っておらず不明。

 

 

露天掘りエリアを後にしてさらに林道を歩くと、突き当りはこんな平場。

過去には鉱山施設が有った場所かと思われます。

 

平場の奥をウロウロしていると、鉱山道跡の様な道が出てきます。

 

鉱山道跡を歩いていくと、このような穴が。

位置的に日本地質センターの資料である「栃木縣越路鉱山における電気探鉱について」の図に出てくる、試掘抗または旧鉱だと思われます。

 

この奥は特に何もなかったので、再度平場エリアへ戻りその付近を探索。

 

平場エリアには石積みや幾つかの遺構が残っています。

 

分かりにくいですが、深さ3メートルはありそうな謎の穴も。

画像だとわかりにくいですが結構な深さが有ります。

 

 

さらに斜面には水が染み出る、陥没したような跡が見られます。

図面から行くとここは鷹羽抗跡の様です。

坑口らしき隙間が有りましたが、ほぼ埋没してます。

 

 

今度は沢沿いに歩いていくと、こちらも水が流れ出る坑口を発見。

 

ここは図面から見ると松平抗の様です。

 

支保工がしっかり残っていますが、坑道自体は水没。

 

坑道付近には崩壊した木箱と立て看板の様な物が有ります。

木箱は使われているビスがまだ全然さびていないので、鉱山よりもかなり新しい物の様です。

 

ここではズリ石の中に黄鉄鉱だか黄銅鉱だかの破片もたくさん落ちています。

 

昔懐かし携帯電話も落ちていたり。

鉱石採集の人が落としてしまったものでしょうか。

N501とかのシリーズの携帯電話の様です。

 

 

今度は大切抗や立石抗が有ったと思われるエリアに向かいます。

それらしい場所に来ると石積みなどが残っており、坑道が有った雰囲気が出てきます。

 

沢沿いには松平抗付近でも見られた鉱石の混じる粘土状のズリ石も見られます。

金槌も落ちていましたがそれほど錆びていないことから、最近来た人が落としたものでしょうか。

 

さらに周囲を見渡しますが、坑口が有るような雰囲気ではありません。

ただこのように岩肌にいくつもの人為的な溝が有ったので、坑道が崩落したのか当初は坑道だった場所を後に露天掘りに変えたのかもです。

 

ちょっと高い所から見下ろすとこんな感じ。

露天掘り跡と言えばそんな感じですし、崩落跡と言われればそのようにもとらえる事が出来そうな地形です。

 

さらにその付近を探索していると、苔とシダ植物に覆われた石段を発見。

 

石段だけはしっかりと残っていましたが、その先はこのように岩だらけ。

 

ただあのような明確な石段が有るということは、この上にもきっと何かが有るだろうと思い、岩を乗り越えて先に進みます。

すると岩肌が見えて、その下に坑口の様な物が・・・。

 

近寄ると下半分を石積みで固めてある坑口を発見。

立石抗かもしれませんが、図面とはだいぶ位置違うので、別の坑口かもです。

 

奥も壁が作られてはいれないようになっていますが、少し隙間が空いておりその奥からは蝙蝠の羽ばたく音が聞こえました。

 

今度は少し戻って別の沢筋へと入ります。

こちらは松平抗から山を挟んで反対側に位置します。

この沢筋にも坑口が有るということで探索。

 

しばらく沢沿いを歩くと坑口を発見。

この坑口は手前が水に沈んでいますが、奥はまだ坑道が続いている様子。

もしかしたら松平抗まで繋がっているのかもです。

 

越路鉱山で採集した鉱物

そんなわけで越路鉱山探索は終了。

今回の越路鉱山探索で拾ってきた石は此方。

黄鉄鉱とか黄銅鉱でしょうか。

小さいながらも結晶になっているので綺麗です。

時間が無くて足元に落ちていたのをちょこちょこと拾っただけですが、鉱脈の露頭を探すと一辺が2センチを超えるような結晶も見つかるとか。

今度行く機会が有ったら、しっかり石の方も探してみたいと思います。

 

次は男鹿鉱山へと向かいます。

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