桐生市の桐生砂鉄鉱山探索

桐生市

探索日:2024年5月27日

この日は某先生と桐生市の砂鉄鉱山と、山菱鉱山の探索に向かいました。
まず最初は桐生市は梅田地区に有ったとされる、砂鉄鉱山を探します。

桐生砂鉄鉱山とは

桐生市の砂鉄鉱山については、「桐生の地誌」と「未利用鉄資源第9輯」に記載が有ります。
特に「未利用鉄資源第9輯」には調査状況の詳細が掲載されているので、こちらを参考に探索します。

鉱区情報は以下。
鉱区番号:群馬県試登第4062号
鉱種名:砂鉱(砂鉄)、面積34,085アール。
鉱業権者:下境恒治
住所:群馬県伊勢崎市大字八寸2084番地

鉱床の位置に関しては、浅部集落南の忠霊塔付近と、上菱・塩瀬神社裏、今倉集落集落北方の道路沿いに露頭が有るとの事です。
鉱床の探索については、詳細図もある忠霊塔付近から行ってみたいと思います。

桐生砂鉄鉱山探索

さて、探索ですが忠霊塔へ向かう県道脇の階段へとやってきました。
当時はこの付近に鉱床が有ったようですが、法面はコンクリートで補強されて露頭は分かりませんね。

 

とりあえずは忠霊塔へ向かいたいと思います。
こちらは梅田忠霊塔と言うそうです。

 

階段の上は広場。

 

さらに階段を登って忠霊塔へ。

 

忠霊塔の広場からは集落が見渡せます。

 

忠霊塔付近を確認してみますが、砂鉄鉱床らしきものは見当たりません。
忠霊塔から下って県道沿いを探してみます。

 

県道沿いを歩いていると、コンクリートで補強されていない崖を発見します。
崖は地層となっており、なんとなく黒い層が見えます。

 

崖に近寄ると黒い砂が混じった層が見られます。

 

 

100均で買ってきた磁石を近づけるとこの通り。
砂鉄が多く含まれています。

 

こちらが探していた桐生砂鉄鉱山の砂鉄鉱床の一部だと思われます。

 

砂鉄の層はこんな感じ。
細かい軽石と思われる層の間に挟まれています。

 

さらに周囲を回っていると、地元の方が居たので聞き込み。
すると桐生砂鉄鉱山の事を知っており、以下の情報を聞くことが出来ました。

  • 権者は下境さん(資料とも一致)
  • 昔の県道は今の半分ほどの広さで、県道の山側を崩して砂鉄を掘っていた。
  • 砂鉄鉱山が動いていたのは戦後で、今から60年ぐらい前だと思う。(未利用鉄資源第9輯が昭和36年の資料なので一致)
  • 県道脇に工場を作って、採掘した砂鉄を洗っていた。
  • 砂鉄を洗った水を水路に流していたが、汚水で有ったため周囲から反発が有り、桐生市からも苦情が入った。
  • 砂鉄を採掘しているうちに時代が変わり、採算が合わなくなったようで、いつのまにか権者が居なくなってしまった。
  • 崩した山の保証も、うやむやになってしまったらしい。
  • 砂鉄の品位はあまり良くなかった様子。
  • 砂鉄の販売先については存じてない。
  • 砂鉄工場に使われた建物は10年ぐらい前まで残っていた。

その他、ここには書けない情報も色々と教えて頂きました。

また、桐生市の梅田に関するいろいろな資料もお持ちで、桐生タイムスの根本山のマンガンに関する記事も見せていただきました。

 

当時はこの付近の県道の半分は山で、その部分を崩して砂鉄を採掘していたそうです。
おおよそですが、右車線の半分ぐらいまでは山だったとの事。

 

 

忠霊塔付近の鉱床の確認および、桐生砂鉄鉱山が有ったことを確認できたので、今度の塩瀬エリアの砂鉄鉱床を探しに行きます。
塩瀬神社の裏手に鉱床が有るとの事で、神社の裏から山へ入ります。

 

ちなみに塩瀬神社裏手の砂鉄に関しては、以下のサイトにも詳しく記載されています。
こちらによると、塩瀬神社裏手には砂鉄鉱床だけでは無く、砂鉄を洗浄する鉄穴流し跡も有るとの事です。

古代の菱の鉄生産

 

山へ入るとこんな穴はいくつかあるのですが、動物の巣穴ですね。

 

そしてしばらく山をウロウロすると、沢に怪しい窪み。

 

下流側には石組があり、ため池のようになっています。

 

全体はこんな感じ。
どうやらここが上記サイトに記載の有った鉄穴流し跡の様です。

ただ見た感じ規模が小さく、水も溜まっていません。
沢自体もかなり小さく、ここで砂鉄を洗浄する程の水を賄えたのかは怪しいと感じました。

 

その後も山を探しますが、自然の地形だけで、人為的な物は見つからず。

 

山の斜面のお墓に、この地域名産の立派な更紗石が有りました。

 

山の中を歩いてもなかなか砂鉄鉱床が見つからず。
諦めかけて神社まで戻ってきたときに、怪しい場所を見つけます。

 

近寄ると、先に確認した忠霊塔付近の地層によく似ています。

 

黒い砂の混じった層が有ります。

 

磁石を近づけると、こちらも砂鉄を多く含んでいます。
どうやらここが塩瀬神社裏の砂鉄鉱床の様です。

 

下部には埋まりかけていますが、砂鉄の層を掘り込んだような跡が残ります。

 

砂鉄の層はこんな感じ。

 

私も少しサンプルを貰っていきます。

 

何とか塩瀬神社うらの砂鉄鉱床も発見したので、桐生砂鉄鉱山と砂鉄鉱床の確認終了。
今回は地元の方から情報を色々といただけたのでスムーズに調査が終わりました。

お次は塩瀬神社脇の朝日沢から、山菱鉱山の再調査へと向かいます。

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