桐生市の茂倉沢鉱山舟ヶ沢坑探索

桐生市

探索日:2021年5月2日

 

茂倉沢鉱山の坑道を探索後は、同じ茂倉沢鉱山の舟ヶ沢坑を探索しに行きました。

 

この記事の探索は茂倉沢鉱山の舟ヶ沢坑で、鈴木石や長島石が採集できるいわゆる茂倉沢鉱山(南入抗)はこちらになります。

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茂倉沢鉱山舟ヶ沢坑とは

茂倉沢鉱山舟ヶ沢坑とは、茂倉沢鉱山として上記の茂倉沢鉱山南入抗や茂倉沢鉱山むじな抗などと一体的に採掘が行われていた鉱山です

茂倉沢鉱山の舟ヶ沢坑はいくつかの資料に名称として記載が有りますが、インターネット上で検索しても実際に行った人はいない様子で(2021年5月20日現在)、現在も存在しているのかが不明です。

 

手持ちの資料である日本地方鉱床誌 関東地方には茂倉鉱山の一部として、『舟ヵ沢』の名称で舟ヶ沢坑の記載があります。

ちなみに先に訪れた茂倉沢鉱山の坑道は茂倉沢鉱山南入抗の様子。

なお、この資料には茂倉沢鉱山としてもう一か所坑道が有るように書かれていますが、これが茂倉沢鉱山のむじな抗だと思われます。

 

もう一つの手持ちの資料である趣味の鉱石トレジャーハンターにも「茂倉沢舟ヶ沢抗」と記載が有ります。

 

鉱山探索記録で有名な金野研究室の資料にも茂倉沢鉱山舟ヶ沢抗と記載が有ります。

(画像は金野研究室の朝日沢鉱山探索記録より引用)

 

そして後になり見つけた、茂倉沢鉱山舟ヶ沢抗について具体的に記載されているのが、「栃木県加蘇・飛駒および菱村地域のマンガン鉱床」という資料。そこには以下のように記載が有ります。

『茂倉沢鉱山には、南入本抗1抗・2抗、むじな鉱床、および舟ヶ沢鉱床の3鉱床がある。(中略)舟ヶ沢鉱床は、走向EW、傾斜20~30°の板状の鉱床である。下盤は典型的な塊状の珪岩で、上盤は粘板岩である。鉱体幅は露頭付近で約1.5メートル、走行延長30~35メートル、傾斜延長20メートルである。鉱石は珪質炭マンで、鉱体の大きさの割合に品質は良くない。』
こちらの資料では鉱床の様子が具体的に記載されています。

このように幾つかの資料には掲載されているのですが、どの資料も地図の場所が曖昧ですし、茂倉沢鉱山舟ヶ沢坑が有るとされる位置が少しずつ違っています。地図だと若干のずれでも、実際山に入ると沢が一本違うだけで大変なことになります。

そんなわけで謎が多い茂倉沢鉱山舟ヶ沢坑ですが、今回せっかくなので探しに行ってみます。まずは事前に自宅にて地形図や地図や航空写真と何度もにらめっこして、存在しているであろう沢筋の目星をつけます。

一応はそれっぽい沢は見つけたのですが、沢への入り方が分かりません。とりあえずは近場に行けば何とかなるかなということでいざ現地へ。

 

茂倉沢鉱山舟ヶ沢抗の場所や行き方

茂倉沢鉱山舟ヶ沢抗は私のように公共機関で行くなら、JRの桐生駅からおりひめバスの梅田線を利用ます。

バス停は「梅田公民館入口」か「梅田南小学校前」付近が最寄りです。

そこからはとある沢に入り、ひたすら沢沿いを登っていきます。その沢は鉱山の名前から「舟ヶ沢」だと思われるのですがどこにも表記はありません。

沢も所々に過去利用されていたと思われる踏み跡が残るだけで、道らしい道は無いので注意が必要です。

細かい鉱山の位置はネット上に書いてしまうと色々と有るので、実際に現地に行って確認してみてください。

 

 

茂倉沢鉱山舟ヶ沢抗探索

現地では茂倉沢鉱山を探索後に一度林道をくだり仕切り直し。

とりあえず茂倉沢鉱山舟ヶ沢坑の有ると思われる沢方向に延びる林業の作業道路を稜線まで登り、今度は稜線沿いに進みます。

 

そして目星をつけた場所から隣の沢へ降りる、山越えルートで。

 

下った沢はいくつかの炭焼き窯跡が見受けられます。

 

沢筋を大分登るも出てくるのはいくつかの炭焼き窯跡だけ。

ここはハズレか・・・と思った頃に、いかにもな石垣が現れます。

 

そしてその辺りから、斜面の足元はマンガンを含んでいると思われる黒い石が増えてきます。

石の大きさといい規模といい、明らかなズリ跡っぽいので期待が高まります。

 

ズリ石でテンションが上がるのですが、この斜面にズリ石&落ち葉で足を取られ登るのに一苦労。

余りにも体力を奪われるので、ここでリュックをデポして、スマホとLEDライトだけをポケットに入れて登ります。

 

ズリ石エリアに苦戦しながら登ると、頭上に岩山が現れます。

そしてよく見ると、穴のような物が見え隠れ。

 

穴は岩山の中腹にあるので、今度は岩をよじ登っていきます。

すると岩山には見事に穴が!

 

岩場に取り付きながら穴に向かうと、見事に人工的に掘られた鉱山跡。

茂倉沢鉱山舟ヶ沢坑だという確たる証拠は有りませんが、茂倉沢鉱山舟ヶ沢坑が有ると思われた場所にマンガン採掘跡が有ったので嬉しい発見です。

 

さて、この鉱山は岩山の中央付近を走っていたマンガンの鉱脈だけを綺麗に削り取っており、岩の中が斜めにくりぬかれています。

 

所々に崩落を防ぐために柱として残された岩が良い感じです。

 

広く掘られた内部に入ってみると、残された柱となっている岩が良すぎ!

マンガン鉱山のパルテノン神殿です。

 

こんな柱一つでも何千トンとか支えてるのでしょうね。

 

この坑道内部の様子はこんな感じ。

荷物をデポした際にアクションカムもおいてきてしまったので、スマホでの撮影です。

 

坑道内部から外を覗くと、新緑の景色が良いです。

 

坑道はかなり広く掘られたようで、外から見るとこんな感じ。

 

この辺りは坑口がいくつも空いており、マンションの外観のようにも見えます。

 

 

この柱とかハンマーで叩けば簡単に崩れそうですが、叩いたら支えてる岩山が崩れて大変なことになるんでしょうね。

 

横に掘られた坑口に沿って岩山の側面に回り込むと、上部に石積みと別の坑口が有ります。

 

斜面を登って坑口を覗き込んでみます。

中は奥まで続いていそうですが、浮いてる大岩が崩れそうで怖いですね。

 

ちなみにこの鉱山のある岩山はこんな斜面。

足を滑らせたら数十メートルは滑落します。

 

この斜面をおっかなびっくりトラバースして、坑道の反対側へ。

 

反対側から見るとこんな急斜面の岩山に坑道跡が残っているのがわかります。

採掘当時はどうやって掘ったり、採掘したマンガン鉱石を運んでいたのか不思議です。

 

茂倉沢鉱山舟ヶ沢坑の採掘跡を一通り見終わった後は、慎重に斜面をくだります。

この右側の岩肌の上部に茂倉沢鉱山舟ヶ沢坑があります。

 

下ってからはデポしていた荷物を回収し、沢筋をくだります。

最後は事前に予想していた通りの沢に合流。

 

そんなわけで茂倉沢鉱山舟ヶ沢坑と思われるマンガン採掘跡を探索してきました。

この採掘跡は鉱脈の掘り方が独特で、見栄えも迫力が有るので見て楽しめる鉱山跡でした。

 

お次は朝日沢鉱山の新たな坑口探しに向かいます。

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