探索日:2021年5月9日
※2021年9月6日:当初はここを久通鉱山と記載していましたが、後の調査で第二大蔵鉱山の可能性が高くなったので修正しています。
今回紹介するマンガン鉱山以外の飯能市周辺のマンガン鉱山は、以下のページでもまとめているので良かったらご覧ください。
大蔵鉱山と大蔵鉱山南鉱床を探索後、伊豆ヶ岳登頂後は登山道から外れ沢沿いを下山し、伊豆ヶ岳周辺のマンガン採掘跡を探します。
当初は伊豆ヶ岳の頂上から花桐集落方面に下ろうと思ったのですが下るルートが分からず。
伊豆ヶ岳の頂上から稜線を歩き、沢沿いと思われるこんな場所を下ります。
とりあえず木の所々にピンクテープが巻かれているので、正式な登山道かは分かりませんがルートの一つではあるようです。
最初は急斜面を降り最初の沢に到達すると、何やら人工的な石積みが。
小規模でなんの為の物かは分かりませんが、林業用などに使う水を貯めていたのでしょうか。
さらに周囲には炭焼き釜の跡らしい石垣も見られます。
さらに下ると小さい鉄製の橋が有り、比較的広い広場に到達。
ここからは林道が繋がっているので林道を歩いていきます。
比較的しっかりした林道なので歩きやすいかなと思ったら、ちょっと先では洪水にやられたようで地面ごと抉れて大変な場所も有ったり。
荒れていたのは上記の付近だけだったので、その後はスムーズに歩いているとイキナリ林道脇に坑口出てきます!
これは全く予期していなかったので、うれしい発見です。
全体はこんな感じ。坑口は上下に分かれています。
岩の様子からマンガンの採掘跡の様です。
まずは下の坑口。
幅と高さがあり、この辺りのマンガン鉱山にしてはかなり大きな坑道です。
中は水が溜まっておりトレッキングシューズでは入れませんでした、内部もしっかりした作りで奥まで続いていそうです。
この規模なら過去にはトロッコとかも敷かれていそうな感じです
斜面をよじ登って上の坑口へ。
上部は露天掘りをした後に、鉱脈に沿って2か所を下部に掘ったようです。
左側の穴は閉塞もしくはちょっとした掘ってない様子。
右側は狭いながらも左下へと続いています。
石を落とすと先ほどの下の坑口へと繋がっている様子です。
さらに後ろを振り向くと、沢の反対側にも坑口が有ります。
坑口付近はマンガンと思われる黒いズリ石が多く転がっています。
こちらも露天掘りから、鉱脈を求めて坑道掘りをしたようです。
こちらの穴は狭いです。
中はこんな感じで試掘かそれほど掘っていないようです。
さらに周囲を見渡すと、山の斜面に石碑かお墓の様の物が見えるので行ってみます。
最初はこの鉱山の山神様かなと思っていましたが。
こちらの石は女性の戒名っぽいのが掘られているから、お墓の様です。
倒れたままの物もあります。
もう訪れる人がいないようで、長い間手入れをされていないみたいです。。
今は何もない場所ですが、これがお墓だとすると過去には集落が有ったのかもです。
今度は川の方を見てみます。
沢の合流点付近には比較的大きな石積みが有ります。
その先が平場になっているので、ここに橋が有りその台座部分っぽいです。
斜面を見上げると意味ありげな石積みが。
崖を登って石積みまで行ってみましたが、すでに崩れてしまったのか周囲には何も無し。
久通鉱山と思われる付近を探索終わったので、この場を後にします。
途中で振り返るとこんな感じで坑口が見えるので、林道を上がってくる人たちにはインパクトを与えそうですね。
林道を下っていると、所々に石垣や平場が見られます。
建造物跡かのか林業や炭焼きの作業用なのかは今となっては分かりませんが、過去にはそれなりに人が入っていたようです。
この鉱山はなに?
さて、気になるこの採掘跡ですがいったいここは何という鉱山なのでしょうか。
当初はこの鉱山を久通鉱山としていましたが、後に見つけた資料で「第二大蔵鉱山」の可能性が非常に高いです。
さて、今回たまたま見つける事の出来たマンガン採掘跡ですが、手持ちの資料である「日本地方鉱床誌関東地方」を参考にすると、位置と場所の住所的に『久通鉱山』に当たりそうです。
ネットで調べる限り2021年6月6日時点では、この採掘跡の鉱山としての情報は出てきません。
ハイカーさんのサイト登山レポート、林道を走るオフロードバイカーさんのサイトにはこの坑口の情報がちょこちょこ出てきますが、どれも不気味な洞穴程度しか書かれて無いですね。
参考になるようなものがこれしかないのですが、取り合えずこのブログでは今回の採掘跡を『久通鉱山』としておきます。
当初は「日本地方鉱床誌関東地方」の地図からここを「久通鉱山」としていましたが、後に埼玉県立図書館で見つけた「埼玉県下に於けるマンガン鉱予備調査報告書」には以下の記載がありました。
これだけの情報ですが、この鉱山跡は上久通の最奥に位置しており、上久通林道の終点付近でも有るのでここが第二大蔵鉱山の可能性は高いと思います。
ちなみに第二大蔵鉱山のその他の情報としては主な鉱石として炭酸マンガン鉱を採掘しており、鉱床の幅は約1.0メートル、延長は約20メートル、鉱石の推定埋蔵量は100トンとの調査結果が有ります。
備考としては「残鉱の整理及び深部探鉱中でその結果が悪ければ鉱量を期待できる鉱床は無い。その他の鉱山は大部分休山しているばかりでなく鉱床の規模が小さい」との記載が有ります。
第二大蔵鉱山の様子はこのような感じでした。
ちなみにこの坑口の周りに謎のお札か何かが沢山あったのですが何でしょうかねこれ?
この場所は昭和初期に掘られたと思われる鉱山なので、それほど古くは無いですし神話的な由緒も関係ないと思いますが・・・。
そんなわけで第二大蔵鉱山探索後は、マンガンを採掘していた吾野鉱山を探しに向かいます。
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