鹿沼市にある喜久澤鉱山(菊澤鉱山)探索

栃木県

探索日:2022年5月8日

引田鉱山岩花抗とその後に見つけた岩戸神社の探索後は、板荷駅近くに有ったマンガン鉱山である喜久澤鉱山へと向かいます。

喜久澤鉱山(菊澤鉱山)とは

喜久澤鉱山とは現在の栃木県鹿沼市下遠部または栃木県鹿沼市板荷付近に位置するマンガン鉱山です。
資料により「菊澤鉱山」「喜久澤鉱山」「喜久川鉱山」「板荷鉱山」の記載が有ります。

手持ちの資料として『日本のマンガン鉱床』には以下の記載が有ります。

板荷鉱山・喜久澤鉱山
栃木県上都賀郡菊沢村川化。東武線板荷駅の南約2キロに位置する。
この付近一帯に多数のマンガン鉱床を見るも、大きいものはない。
第123図に筆者の踏査したものを示す。

鉱石は真名子型の灰色炭マンを主とする。石英脈および薔薇輝石脈に貫かれている。
縞アヅキ鉱・緑マンガン鉱よりなる上鉱も認められる。
鉱床はレンズ状で相互の連絡線は不明瞭なことが多い。
石英脈には黄銅鉱を伴うことがある。又重晶石を含むことは少なくない。

喜久澤鉱山は一時的に板荷鉱山と呼ばれていたことも有るようです。
板荷鉱山というと輝水鉛鉱や鉄重石などで有名な板荷鉱山も近くにあるのでややこしいですね。

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そしてもう一つの手持ちの資料である『日本鉱産誌I-C』には以下の記載が有ります。

喜久川鉱山
栃木県板荷村川化。
古生層中の鉱床。
品位:マンガン30%~50%。二酸化マンガン65%。
1946年~50年にかけて、マンガン91トン、二酸化マンガン3トンを採掘。
鉱業権者:土師康嗣

こちらでは鉱山の名称が「喜久川鉱山」となっていますが、鉱山の場所的に同じものかと思われます。

喜久澤鉱山(菊澤鉱山)探索

さて喜久澤鉱山の探索です。
目指す喜久澤鉱山は、既に探索した引田鉱山岩花抗や岩戸神社から川化山やかまど倉やまなどを挟んで正反対に位置するので、7キロぐらいぐるっと歩きます。

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途中見つけた用水路。
自然豊かなようで、こんな用水路の中にも30センチ近い良いサイズのヤマメが泳いでいたりします。
残念ながらカメラを構えたら逃げられてしまいましたが・・・。

途中で大芦川を渡ります。
用水路にヤマメが居るぐらいですから、この川も渓流釣りをしたら楽しめそうです。

 

そんな感じで2時間ほど歩いて、喜久澤鉱山の入り口と見られる林道に到着。
林道入り口には「林道大川化線」と「林道川化線」の2つがあります。

 

とりあえず川沿いの林道を歩き、山の奥へと進みます。

林道をしばらく歩いていると斜面に穴らしき場所を見つけたのでそちらに進んでみます。

 

林道を外れて川を渡り、林業の作業道らしき道を歩くと、喜久澤鉱山の1つ目の坑口を発見です。
崩落でかなり埋まっていますが、奥へと続いていそうな感じです。

近寄って坑道内を照らすと奥へと掘られています。
さらには冷風が結構な勢いで噴き出してくるので、どこかの坑口と繋がっていそうです。

 

坑口付近のマンガン鉱石と思われるズリ石。

 

最初の坑口が有った場所の上部にも怪しい場所が有ったので登ってみると、2つ目の坑口を発見。

 

坑口付近から照らしてみると、こちらも奥に続いているようです。

 

さらに奥には竪坑らしき穴も見られます。
これが先ほど見つけた1つ目の坑口と繋がっていそうな感じ。

 

どうやらこの斜面にマンガンの鉱脈に沿って何か所か掘っている感じです。
チャートの露頭に沿って登っていくとさらに採掘跡があります。

 

こちらは軽く露天掘りしただけの様子。

 

斜面を歩いていると足元に約20センチ四方の穴が有ります。

 

照らしてみるとかなり深い。
大きさ的に通気用の穴でしょうか?
だとするとこの斜面の下部に大きな坑道が有りそうですね。

 

さらに斜面の上を見上げると、斜め上に向かって走るチャートの露頭に沿って、複数の採掘跡が見られます。

 

こちらはマンガンの有った鉱脈に沿って採掘しています。

 

こちらはチャートの隙間に有ったマンガン鉱石を露天掘りで掘った跡の様です。

こちらは崩落した採掘跡。

場所によっては奥までマンガン鉱石が有ったようで、斜面に沿いながらも坑道掘りになっている場所も。

 

ライトで照らすとそれなりに続いていますが、周囲の岩盤が所々で崩落していてちょっと危ないので坑道内には入らず。

その先も小規模ながらいくつもの採掘跡が見られます。

 

この辺りが採掘跡最上部。
チャートの斜面にそって結構な範囲の場所で採掘跡が見られます。

 

まず最初のエリアの採掘跡を発見したので、今度はこのマンガン鉱脈が走っている向きを追って沢の反対側へと向かいます。
沢沿いを少し歩くと対岸の斜面に坑口を発見。

 

近寄って中を照らしてみましたが、2~3メートル程度の試掘跡。

 

試掘でしたが坑口が有ったので、他にも採掘跡が無いか周囲を探します。
斜面を少し進むと、まっすぐに掘られた採掘跡。

 

小規模な採掘跡。

 

こちらは沢沿いの急斜面に掘られたマンガン採掘跡。

 

結構な急斜面にあるので、滑落や採掘跡に落下しないように気を付けながら進みます。

 

ここからは小規模の採掘跡の様子。

 

 

ここは縦に掘られた採掘跡。

 

照らしたら下部に水がたまり地底湖になっていました。

 

こちらの穴も深そう。

隙間から中を照らすと、こちらも最下部が地底湖になってます。

 

こちらは川沿いに空いていた坑口。

中を照らすとマンガン鉱山らしい複雑な掘り方。
そして奥には沢から流れ込んだとみられる水が溜まっています。

これは上記の坑道の脇に掘られていた空気取りか何かの穴。

 

2つ目の採掘エリア全景はこんな感じ。
沢沿いの斜面をマンガン鉱脈に沿って何か所も掘っています。
こちらが上流側からの様子。

こちらが下流側からの様子。

 

というわけで喜久澤鉱山の2つの採掘エリアの探索終了。
そういえばこの川化山付近では紫水晶が採れるらしい話を聞いたので、後で機会があったらそちらの探索も行いたいです。

お次は板荷駅付近に有った上都賀鉱山の探索に向かいます。

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