飯能市の南川にある南川鉱山(花桐鉱山?)

埼玉県

探索日:2022年5月22日

この日は西吾野から吾野エリアのマンガン鉱山跡と幾つかの鍾乳洞を探索してきました。
まずはメールでやり取りさせてもらっている「ろばあと様」から情報を頂いた、南川鉱山(花桐鉱山?)の探索へと向かいます。

南川鉱山(花桐鉱山?)とは

現在の埼玉県飯能市大字南川付近に有ったマンガン鉱山です。
手持ちの資料である『埼玉県下に於けるマンガン鉱予備調査報告書』には以下の記載が有ります。

南川鉱山
鉱業権者:矢野〇三郎(〇部分は読めず)、矢野専三。
位置:入間郡吾野村花桐。吾野駅より約8km。
昭和25年7月の時点で休山。
鉱石:二酸化満俺鉱。素鉱17.0、精鉱27.0、歩留30.0%。月産4トン。
鉱床:幅2.0メートル、深さ40メートル、延長10メートル、推定鉱量1000トン。
備考として「鉱量あるも低品位」との記載が有ります。

別の資料である『日本地方鉱床誌』には地図上に、花桐の地名と共にマンガン鉱山を示す記号が載っています。

 

南川鉱山の情報を頂いた『ろばあと様』は地元の方から、以下の様に竪坑が有った話も伺ったとの事で、比較的規模の大きそうなマンガン鉱山の様です。

この場所を知っていた地元の方によると、小学校の頃に入坑した際は、内部にはしごがあって縦に掘り進めていたとのことでした。

 

それと何処で見たのか忘れてしまったのですが、手元に「南川鉱山本坑」というメモが。
このメモの元となった資料が確かなら、南川鉱山は幾つかの坑口がある事になります。

とりあえずこの南川鉱山と花桐鉱山が同じものなのか別の鉱山なのかは今現在不明ですが、ここでは『埼玉県下に於けるマンガン鉱予備調査報告書』にて明確な情報が記載されている南川鉱山ということで書いていきます。

 

飯能市のマンガン鉱山については以下のページでもまとめています。

埼玉県飯能市周辺のマンガン鉱山まとめ
このブログを始めてから埼玉県内の鉱山を探索することが多くなり、比較的家から近い飯能市周辺のマンガン鉱山を探索することが増えてきました。そんな中、飯能市にはどのくらいの数のマンガン鉱山があるのかとふと思いました。 飯能市のマンガンの数と...

 

南川鉱山探索

さて南川鉱山探索です。今回は西吾野駅からスタートして南川方面に向かいます。

 

川沿いを歩くとガードレールに阻まれた、トマソン的な橋。
以前は山作業用にでも使われていたのでしょうか。

 

川の様子はこんな感じ。
アブラハヤと思われる魚が泳いでいる様子が見えます。

 

ある程度まで進み教えて頂いた林道に入ります。

 

林道を少し進んでからはこちらの沢に入ります。

 

沢を少し歩くと、マンガン鉱山のズリ石と思われる黒い石が出てきます。

 

さらに進むと沢底がズリ石で埋め尽くされています。

 

その場所を乗り越えるとズリ石で作られた平場が出てきます。

 

その脇には苔に覆われた石積み。

 

その先には沢の両サイドの岩場に坑口が開いています。
こちらが左側の坑口。

 

右側には斜めに二つの坑口が開いています。

 

まずは左側の坑口から。

中を照らしてみましたが、奥行き数メートル程度。試掘だけで終わった場所の様です。
ただ坑道内には地面の泥を掘り返した様な様子が見られます。
この坑道はイノシシがねぐらにしているのかもです。

 

 

お次は右側の坑口。
斜め下の方の坑口から確認。

 

こちらもマンガン鉱脈が無かったのか奥行き数メートル程度で終わりです。

 

次は左上の坑口のを確認。

 

正面は崩れているような様子。

 

左下は奥に掘られているようなので、少し確認してみます。

 

左下の奥はある程度続いているようですが、狭いのと岩が崩れているのであまり奥には入らず。
ちなみにこの画像、右斜め上から土砂が流れ込んできているようにも見えます。
これはもしや上部に竪坑が有るのでは・・・と。

 

坑道内部から坑口付近を振り返った様子。

 

とりあえず見える範囲の3つの坑道を確認したので、今度は周囲を探索。
坑道付近の平場には何か所かの石積みが残っています。

 

さらに周囲を見ていると斜面の上部にも石積みが見えます。

 

気になって斜面を登ってみると斜面にもズリ石。
これは間違いなくこの上部にも坑道が有りますね。

 

ズリ石の有った斜面を登ると、ほぼ崩れていますが再び石積み。

 

石積みの先には予想通り、坑口が開いています。

 

坑口付近の岩場も大きくえぐれているので、最初は露天掘りでもしていたのでしょうか。

 

坑口から坑道内に入ると、いきなり竪坑!

 

照らしてみると、深さ4~5メートルぐらいの竪坑となっています。
どうやらこれが地元の方が話していたという竪坑の様です。

 

竪坑を上から見下ろした様子。
竪坑はさらに左右を下部に掘り込んで斜坑の様になっていそうです。
ライトで斜坑の方を照らすと、多数の蝙蝠が出て来たので、ある程度の広さは有りそう。

 

右側の様子。

左側の様子。

 

竪坑に石を落とした様子の動画はこちらから。

 

 

坑口正面の竪坑の先にも坑道が続いているようですが、危ないのであまり確認はできず。

 

坑道内の竪坑脇は少し広くなっており、作業スペースとして確保していたようです。

 

坑道内のマンガン鉱脈の様子。
赤いチャートに沿ってマンガン鉱脈が有ります。

 

 

竪坑の有った坑道を見終わったので、坑道内から脱出。
坑口付近から最初の坑口が有った谷底付近を見下ろすと結構な高さが有ります。
竪坑が下の坑口まで続いているのかは不明ですが、繋がっていたとしたら竪坑で掘った鉱石を下の坑口から取り出していたのかもです。

 

竪坑の有った坑道を探索したのでさらに登って尾根沿いへ。
この尾根は時折人が来るのか綺麗に手入れされています。

 

この尾根沿いにもマンガンの露天掘り跡のような窪みが何か所も見られます。

 

尾根沿いを歩いていると、反対側の斜面に大きな窪みが。

 

 

急斜面なので滑落しないように近寄ってみると、比較的大きな坑口を発見。

 

坑口は先ほどの竪坑坑道から尾根を挟んでちょうど反対側。
同じマンガン鉱脈を追って掘ったようです。

 

坑口付近のズリ石。

 

坑口付近の様子。

 

坑道内を照らすと以外にもそれほど奥行きは無い様子。

 

坑道内に入ってみると、奥行きは無いものの下部に掘り込んでいます。

 

先ほどの竪坑の様なこともあるので、恐る恐る覗き込んでみると深さもそれほど有りません。
ただ手前側に掘り進んでいるので、ここからは見えませんが斜坑状になっている可能性は有ります。

 

坑道突き当りの様子。

 

坑道内部から坑口付近の様子。

 

坑道内のマンガン鉱脈の様子。

 

この後もほかに坑口や採掘跡が無いか周囲をウロウロしましたが、これ以降は何も見つからず。
お次の探索場所へと向かいます。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました